第24話 夢

 

 女は温かい。

 温かく、潤っている。


 温州と蘇芳が交互に俺を味わう姿が見えた。

 順番待ちをする教諭とナタネは俺の肉体に手を這わせている。


 泡を孕んだ波は荒い。

 ざぶっぶぶっと海からやって来たそれは貝殻を転がし、舟を叩き、老人のサンダルを濡らす。



 浜に置かれた籠の中身を温州が遠慮なく手に取り、真水で口を濯いでいた。

 ああ、そうだ。

 水とメシがあるのなら、今夜はもっとしっぽりやれる。

 どうせならベッドも欲しいな。ハンモックだと全員入らないからな。


「――っ!」


 いつの間にか、俺の上で胡麻堂教諭が嬌声を上げていた。

 次はナタネか。

 その次は温州か。


 ああ、騎乗位ばかりだと面白くないから、蘇芳は後ろからにするか。

 そうしたら爺さんに返事をして――――そうだ、舟を借りて海でやろう。

 いいな。

 面白い。舟の上で5Pだ。AVだな。


 ふふっと笑いながら、俺は視界が黒ずんでいくのを感じる。




 ――――もう、いいじゃないか。




 霧のように実体を持たないまま胸を漂っていた諦念が、ようやく言葉となった。



 俺はもう、報われてもいいんじゃないか?


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