ゴブリンの調査

 猿に似た習性と聞いて調査しに来てみたが、私の見る限り、それは人間の子供、それも悪ガキの類の行動に近かった。集落の中をひたすら歩いている者や寝転がっている者、固まってはしゃいでいるものと、まとまりはない。知能は高くないようで木に化けた私に気付いていない。安心して調査ができそうだ。

 太い木の枝で穴を掘っている者がいる。その後ろには、掘られた穴にまた土を入れ、埋めている者がいる。何故だろうかと思っていたが、どうやらそれに意味はないらしい。掘って、埋めて、満足していた。

 スタン! スタタンタン! 音の聞こえた方を見やると、少し細い体をした者の前で、筋肉質なのが激しく体を揺らし、ステップを踏んでいた。これは珍しい。求愛行動だ。

 細い体をした者はそれをしばらく眺めてから、棍棒を力いっぱい振り抜き、あいてを吹き飛ばした。どうやら求愛は成功のようだ。間もなく倒れた相手にまたがって交尾が始まるだろうが、気持ち悪いのでそれは見ない事にした。遠くで弓を引き絞っている者がいた。その矢の先は……、ああ、どうやら私に気付いていたらしい。

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