400文字探偵 ~原稿用紙一枚で事件を解決~

「犯人はお前だ!」探偵、ピンと伸ばした指で犯人を指す。犯人、ふてぶてしい顔。

「扉には鍵がかかっていて、窓もしっかり施錠されていた。つまり、犯行現場は密室だったという事になります。しかしそれが、そもそもの勘違いだったのですよ。私たちはある先入観によって、まんまと犯人の術中に嵌ってしまっていたんです。良いですか、この犯行現場の扉をよく見て下さい。床に近い位置に、目立たないようにしてありますが、実は押しても引いても開けることの出来る蓋が付いている。そう、この人間は通れそうにない小さな穴こそが、犯行時に使われた移動経路なのです。つまりそれが出来たのは一人、いや、一匹……」

 探偵、もう一度犯人を指差す。犯人、目を合わせようとせず爪を噛む。

「キーボードにコーヒーを零したのはお前だ!」

 犯人、フニャーと欠伸をする。

こうして、事件は解決した。(してない)

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