ジャックダニエルとカフェオレ

 友人の前へとグラスを置き、ジャックダニエルを注いだ。大きめに割った氷がカチリと鳴る。それとカフェオレも用意する。ウイスキーと甘い珈琲を同時に飲むのがいつのまにか僕たちの習慣になっていた。友人は指でクルクルとグラスの氷を回しながら言った。

「本当に好きだったんだけどなあ。アイツの事。まさか浮気をするような娘だとは思わなかったよ。まあ、俺があんまり構ってやらなかったからなんだろうなあ……。

 ああ、辛いなあ、辛いよ。大切にしてやってくれよ。頼むよ……。アイツはお前を選んだんだから」

 そういって友人は僕に頭を下げた。僕は何も言えず、只々、琥珀色の液体を見ていた。

 友人は一息にジャックダニエルをあおり、それからカフェオレをチビッと飲んだ。

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