ドラゴンの調査
全体をボンヤリと眺めて見れば、それは大きなトカゲのようである。しかし近づいて巨大な爪や鱗や脚の裏なんかをよくよく観察してみると、違った生物である事がハッキリとわかるのである。
コツンコツン。手の甲で爪を叩いてみる。感触はレンガの壁に近い。しかし音の響きはそれよりも伸びやかで鋭い。手触りは錫製のポットのように暖かみのある固さ。耳をペタリとつけてみるとザアザアと元気よく息をしている。次は鱗を調べてみる。鉱石の固さというよりも、やはりクジラの皮膚や亀の甲羅に近い。よく見るとチクチクとした細かい毛が無数に生えている。鱗に毛。不思議である。グッと押してみると、鱗の奥になにやらグニグニしたものを感じる。なるほど。カチカチに固まっているというよりもしなやか。衝撃を吸収しているのである。押した掌がヌメリとしている。においを嗅ぐとゴムの木の樹液に似た一種独特の生臭さがした。臭くて嫌気がしたので足の裏の調査に移る。さあ、脚を持ち上げて、さあさあ。あ、ダメ。踏んじゃ――。
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