馬鹿なイキモノ

「俺、子供の頃は鳥に憧れてたんだ。空を飛んで見たかったんだよ。いいよなあ……飛ぶって」

 そう言っていたパイロット志望のあの人は、その後、薬でぶっ飛んでいる最中に警察に捕まり、現在、檻に収容されております。

「ああん? やんのかコラ? かかってこいやコラ。角棒でぶん殴るぞコラ」

 そう言ってよく暴れていたあの人ですが、柔らかくて丸いものを与えると四、五十分はそれを揉み続けて、大体おとなしくなります。

「アイツとは遊びのつもりだったんだけどさ、俺しかいないの、とか言って泣いちまうもんだからさ、まあ、今は真剣。マジで愛してる」

 あの人はそう惚気けておりましたが、アタシはその相手が絶賛五股中の子持ち人妻である事を知っている為、返答に困りました。

 まったくオトコというのはなんて馬鹿で哀れで、しかし愛らしいイキモノなのでしょうか。

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