ユメノキ先輩 3

 これは、○○刑務所から僕宛に届いた、ユメノキ先輩からのの一部だ。

「久しぶり、なんて手紙で挨拶するのも変な感じだけれども、どうだい、元気でやっているかい。半年ぶりだろうか。君にこうして手紙を送るのも。そういえば、出版社に就職したそうだね。おめでとう。君が望んでいた職場につけて僕も嬉しいよ。是非とも経験を積んで、将来、僕が出すことになる小説のサポートをしておくれよ。彼女とはうまくやっていけてるかい。君が僕に恋愛相談をするなんて初めはビックリしたけれど、君がうまくやっているのなら応援したかいがあるってものだ。君と彼女の事だ。深くは立ち入らないけどきっとうまくいくと信じているよ。同じサークルにいた眼鏡のあの子は元気だろうか。恥ずかしいことに、僕は記憶が悪くて名前を思い出せないんだが、屈託なく笑う顔が素敵だったなあ。会いたいよ。本当に――」

 え? この手紙の何が恐ろしいかって?

 それはね、この手紙には、んだよ。全部嘘なんだ。

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