幼い少年の旅

 幼い少年は旅に出る。身重な母を想い、活力の湧く食料を持ち帰る為、北の大地へと赴くのだ。

 金に輝く剣を腰に差し、鍔の広い帽子を目深に被り、背中に荷袋を背負う。荷袋の中には母が拵えてくれた三個の握り飯と、冒険七つ道具が入っている。手書きの地図、コンパス、ロープ、手帳、靴下、タオル、ハンカチ、財布。ああ、八つあったが、ハンカチとタオルは同じようなものなので一つと数える。ロープも本当は縄跳びだが、問題は無い。アンパン顔の英雄が刻まれた財布には紙幣が一枚。大事に奥へとしまっておく。

 多くの試練が行く手を阻んだが、なんとか乗り越え旅路を急ぐ。既に握り飯もなく、腹が空いてきていた。途中怪しい男に話しかけられたが、近づくものは全て金の剣で切り伏せた。男は父に似ていた気もするが、髭が生えていたので別人だろう。問題は無い。

 目的に着いたまでは良かったが、入り口を巨人が塞いでいた。戦ってもよかったが、ここは話で解決。

「ホウリンソーと、キノコがいっぱい付いたやつください!」

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