第19話 助けた女の子

今俺は町に来ている。それは、アリサのご褒美でなんでもしてやると言ってしまったからだ。まあ、別に後悔はしていないんだけど。

「ノア様!このアクセサリー可愛いですね!!」

「そうだな。お前に似会ってると思うぞ。俺が買ってやろうか?」

「いいえ、私は身につけるよりも見てた方がいいですから。それに、すぐ壊れてしまいますので」

その一言でアリサの顔に影が降りた。あのいじめっ子達の事だろう。昇格はしたものの、貴族のイザコザはどうにもならない。

「あ、でもそう言っていただいてとても嬉しかったですよ!!」

「そうか」

俺は少し笑顔になった。アリサといると少し楽しい。あのうるさい輩もいないし。

「お腹すきましたね」

「そう言えばもう昼か」

「私、あそこの屋台で何かいい物探してみます」

「ああ、頼む」

俺はすぐ近くにあったベンチに腰をかけた。すると、女子が俺をジッと見つめていた。

俺は見て見ぬふりをして目をずっと反らしていたが、女子はまだ俺の事を見ている。俺は耐えられず、声をかけてみる事にした。

「な、何だ?」

俺が声をかけると、急速に俺に近づいて来た。

「やっぱり!あなた、この前助けてくれた男の子ね!!」

「は?」

俺はこの女子を助けたことなんて全然覚えてない。つーか誰?

「あら、自分で覚えていてくれたら嬉しいって言ったくせに自分は忘れたの?」

その一言でその女子の事を思い出した。この前チンピラから助けた女子だ。

「悪い」

「別にいいけど。でもどうしてここにいるの?」

「ちょっとな」

そう言うと、アリサが帰って来た。

「ノア様!……その方は?」

「色々あって知り合った奴だ。そう言えば名前聞いてなかったな」

「改めまして。私はリアナ=アルチェスタント。以後、お見知りおきを」

俺は「ああ」と言ってその場を立ち去った。

その後すぐにアリサと別れて俺は家のソファで座っていた。すると、ソロモンから貰った指輪が光り出した。そして2人がその中から出て来た。

「女子の買い物をしていたようだな。相当疲れた様子だ」

「当たり前だ。あんなにあっちこっちに連れ回されちゃぁな。そう言えば、ソロモンは元気にしてるのか?お前らあいつの様子とか分かるんだろ?」

そう言うとアガレスが少し微笑んだ。

「元気だ。それにあれが体調を崩すはずないしな」

「だよな」


俺が起きると同時に家のインターホンが鳴った。声が聞こえる。メリアンが通したのか。下に降りるとそこには見知らぬ少女が座っていた。

「ノア=シュレインゴッツ」

俺の名前を発した少女は俺に向かって微笑んだ。

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