第16話 決闘を申し込む!悪いが断らせてもらう

俺はリビアの所に向かった。すると、リビアも俺を探していたかのような感じで俺を見付けていた。

「ああ、丁度良かった。ノア、ちょっとこっちに来い」

そう言うとリビアは俺の手を引いて講義室に連れて行った。

「な、なんだよ。珍しく慌てて」

「お前の家の周辺に不穏な空気を感じたんだ。何かなかったか?」

俺はさっき吸血鬼ヴァンパイアの事を思い出し、リビアに洗いざらい話した。

「……そうか。で、怪我は?」

「別になかったぞ。どうだ?凄いだろ、俺」

「お前、もしかして闇属性の魔導を使ったのか?」

やはりリビアは講師なのだなと思った。この世界には炎、水、風、雷、地、光の他にも存在している。それは闇、無属性だ。闇属性は魔力がかなり多くないと扱えない代物で下手をすれば全てを飲み込んでしまうくらいヤバい物だ。そして無属性魔法は個人魔導とも呼ばれ、個々の特性に合った魔導が使える。俺はどんな物でも使えるスーパーな人間らしい。

「まあな。そうでもしないと、勝てない相手だし」

そうあっさり答えたのに驚いたのかリビアはポカンとしていた。

「話は以上だ。つまり、この俺が不穏な奴をやっつけたって事で!じゃーなー!!」

俺はあっさり別れた。その理由は一目瞭然だ。もう夜明けなのである。学校の準備してないし!!


学校とにつくと校門の前にアダムとカリストファーが立っていた。俺はカリストファーを素通りし、アダムに挨拶をした。

「おはよう、アダム」

「うん。おはよう」

「っておい!俺を無視すんなよ!!」

「ああ、いたのか」

俺は冷たくそう答えた。

「いたのかって酷くないか!?」

「はいはい。早く学校に入れ」

適当に俺は答えた。そうすると、カリストファーはいつもの様に騒がしくなっていた。

授業の内容は属性の物だった。とは言ったものの、俺は高等級1年だが2年の実力も持っていた為、俺と先生とでやる事になった。もちろん、年上の先生よりも祖父が賢者で同年代の俺の方がいいに決まっていると言う事で皆俺のところに集まってきた。というか、先生も俺の方に来てるし。あんた教師なんじゃないの?

「先生、あんた教える側じゃないんですか?」

「いや、僕の授業よりも君の方がいいじゃないか!」

はぁ。なんでこの人、教師になれたのか俺にはさっぱり分からん。

「まあいいか。えっと、俺が教えるのは慣れてるし。じゃあ、まずは属性の話から始めるか。皆は属性がいくつあるか知ってるか?」

「七つだろう?そんなの誰だって知ってる。というか、俺達は魔導を極めているんだ。寝言は寝て言って欲しいね」

そう言ったのは入学式のときにリュートヘンデに関わるなだの言ってきた奴だった。俺は大きく息を吸って手をバツにして言った。

「ブッブー!それが違うんだなー。正解は八つだ」

「なっ!!」

「まあ、教科書には七つだと書かれている。が、魔導は八つあるんだよ」

「そんなの何があるって!!」

「無属性魔導」

俺が言うと、辺りは静まり返った。そしてすぐにインテリ君が話し始めた。

「そ、そんな訳ない!無属性魔導なんて扱う奴はいないって本には……」

「あのなぁー、その本には最近の事は書いてあるのか?それに、その本は間違ってると断言できるしな」

「どういう事だ?」

俺は親指で自分を指した。

「その無属性魔導の使い手が俺だからだ」

「は?お前何言ってるんだ?」

「だから、俺が無属性を使えるって言ってんの?アーユーオウケー?」

「そんな事ある訳ない!!」

「ならその目で確かめな」

俺はアダムの持っているペンをイメージして呪文を唱えた。

「”手元グリフ”」

そう言うと、アダムのペンが俺の手元に来た。

「……え?僕のペンが……」

「これが一つだ。まあ、もう少し大きい魔導もしていいけどそれは後日な。で、これで信じてくれたかな?インテリ君」

そう言うと納得しかないと言った顔で俺の顔を見たインテリ君は立って俺に指を指した。

「それは納得したが、君の実力を僕は知らない!よって、君に決闘を申し込む!!」

そう言ってインテリ君は俺を睨んだ。

「悪いが断らせてもらう」

「そうかそうか、断るか……え?」

「俺は面倒事に入るのはご免被る。だからその決闘は受けられない」

そう言って驚いた顔でインテリ君は席に着いた。

「じゃ、授業の続きするぞ」

そうして今日の授業は終わった。

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