第6話 最年少の高等級1年生
先輩の話によると、筆記試験と魔導試験どちらも優秀だった場合、学年代表生徒になるらしい。つまり、今年の試験で最優秀生徒になった俺は入学式で挨拶をするという訳。
「めんどくせぇー」
「いいじゃないか。代表生徒だぞ?それにお前は顔もいい感じだ。モッテモテだぞー?」
リビアはニヤニヤしながら俺の顔を覗き込んでそう言った。
「別にモテるとを求めてこの学校に来たわけじゃないし。正直、女子にモテるとか興味ない」
「それ、男どもが聞いたらはっ倒されるぞ」
「でも興味ない物はない。それにな、リビアみたいな女の人を見てたら別の女の人には興味は出ないだろ」
そう言うとニヤッとしてリビアは俺に抱きついてきた。
「私の事そんな風に見ていたのか?このこのっ!」
「離せ!胸押し付けるな!!」
俺が全力で嫌がっていると、町が騒がしくなっていた。
「なんだ?」
よく見てみると、ナンパされている女の子と男3人組がいた。あの制服は学校の上級生か。
「や、やめてください!」
「いいじゃんかよー。ちょっと遊ぼうぜ?」
「リビアは先に行ってて。俺、あれ止めてくるから」
「ああ。ま、お前の家で待ってるから早く帰って来い」
「りょうかーい」
俺は後ろを振りむいて、歩いて行った。
「ちょっとだけ、な?」
「い、嫌です!!」
「おい、やめてやれよ。嫌がってるぞ」
そう言うと、男は俺を見て鼻で笑った。
「ガキは引っ込んでな。これは大人の問題だ」
「大人?でも、分別つくはずの大人が嫌がる女の人を連れて行こうとするのか?あっれれー?おっかしーなー」
俺がそう言うと、男は俺の頭を打ったたいた。
「ガキが!調子こいているんじゃねーぞ!!」
「はい、正当防衛な」
そう言うと、男は「うっ!」と言ってそのまま倒れた。
「な、なんだ?何が起きた?」
「こんなのも見えないなんて。あんたたち、まだまだだな。優しい俺が解説してやるよ。今俺は前に腕を出してそこで寝っ転がってる野郎の鳩尾を思いっきり殴った。人間はそこを突かれると、吐くか気絶するんだ」
そう言うと、俺はダッシュでその後ろでうろたえている男に蹴りをかました。
「親に人が嫌がる事はしてはいけませんって習わなかったのか?て、ならってないからこんな事するのか」
それを言い終わった瞬間2人目の男は倒れた。
「こ、このガキ!!」
そう言うと、男は短剣を前に突き出した。
「まったく。そんな危ない物は人にむけちゃ駄目だろ?」
俺は前に手を前に出した。すると、短剣が手から弾かれた。
「なっ!」
そう、俺は”
「まだまだだな」
そう言うと男はそのまま走って逃げて行った。悲鳴を上げながら。
「根性無しか」
「あ、あの」
俺は後ろを振り返った。すると、手を前で握った女の子が立っていた。
「あ、ありがとう。助けてくれて」
「別にいい。俺が許せなかっただけだし。それに、あんたも学校の生徒だろ?」
「う、うん。あれ、あんたも?ってことはあなたも学校の生徒?」
「そうだ。俺はノア。ま、頭の四隅にでも覚えといてくれたら嬉しい。じゃ、俺帰らないといけないから」
そう言うと、すぐに俺は走って行った。
「ノア……」
「ただいまー」
「おかえり!遅かったな」
「ちょっとな」
俺は含み気味でそう言った。
「女の子にお礼言われたのか?」
「ああ。同じ学校だし、いつか会えるんじゃないか?」
俺はどうでもいいようにそう言った。確かあの人胸のリボンが緑だったから上級生。あんま交流もないだろうし。
「さてとー、俺は明日に備えて寝るわー」
そう言うとリビアは俺を引きとめた。
「待て!私に付き合え」
「俺未成年だけど?」
「話し相手になれって事だ」
「はいはい。分かりましたよ。めんどくさいなぁ」
俺は居間のソファに座ってリビアに付き合った。
翌日、俺は寝落ちしたリビアを放って部屋に戻った。今日は買い物に出かけなければならないのだ。取り敢えずリビアには見つからないようにしなければ!
「……う、ん」
俺が出ようとすると、リビアは起きてしまった。
「どこに行くんだ?」
「か、買い物?」
そう言うと、リビアは俺の頭をがっしり掴んでぎらついた眼で俺を見ていた。
「私に内緒でか?」
「いだだだだだ!分かった、ごめんなさい!!一緒に行きませんか!?」
そう言うと満足げな顔をした。
「よし、行ってやろう!ちょっと待ってろ。もし、私を待たないで行ったら……分かってるな?」
「は、はい」
20分してリビアは戻って来た。女の支度はいつも遅い。俺には妹がいたが、あいつも遅かったな。
「待たせたな」
「ほんとだよ」
そう言うと俺の頭をリビアは引っ叩いた。
「そう言う時は待ってないよって言うんだよ!」
「リビアだし。めんどくさい」
そう言うともう一発頭を引っ叩かれた。
「いってーな!そう何度も叩くな!!」
俺は怒ってしまい、素が出てしまった。が、これはそれが一番大好物なのだ。
「でたな?ノアの怒りモード」
「悪いけど、もうクールダウンしました」
そう言うと、リビアはガックシと肩を落とした。
「もう行くぞ」
「買い物って何を買いに行くんだ?」
「学校に必要な物」
「そんなのメイドに頼めばいいじゃないか」
俺は歩いていた足を止めてリビアを見た。
「昨日酒飲みに付き合わせて皆部屋で死んでる。誰かさんのせいでね!!」
そう言うと、リビアは少し反省したように肩を竦めた。
「わ、悪かった」
「ったく。まあ、いいけど。えっと、最初に買う物は教科書か」
そう言って俺は本屋に足を止めた。
「いらっしゃーい」
「おじさん!魔導師養成学校の教科書ってある?」
「おお、あるよ。何年生だ?」
「高等級1年」
そう聞くと、おじさんはとてもギョッとした顔で俺を見ていた。
「い、今なんて?
「高等級1年生」
「あんれまー!今までこの本屋に50年間いたけどお前さんみたいなちっこい時に高等級なんていなかったぞ」
そう言って奥から教科書を出した。
「あんがと、おじさん」
そうして俺は本屋から出た。
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