第11話 礼儀正しい妹と礼儀正しくない姉
「ルークさん!」
「1週間会わないうちにもっと強くなったのではないか?」
「そう?」
ルークさんのところに行く頭をクシャッと撫でた。俺はこの撫で方が好きだ。
「ルーク団長。それは一体どういう事ですか?」
「この子は賢者であるグワム=シュレインゴッツ様の孫のノア=シュレインゴッツ。縁あって私は剣術を教えているのだ」
そう言うと、全員が俺を見た。
「まあ、そう言う事。つまり、俺が王室騎士になることはあり得ないんだ」
その一言を発すると、全員膝を折った。
「これはとんだ失礼をいたしました。ノア様。エリック!お前はまた!!」
そう言うと頭を下げた男はエリックと呼ばれている男を叱っていた。エリックもあのお茶らけた状態ではなく、真剣な顔で俺を見ていた。そして俺に謝って来た。
「申し訳ありません」
その一言を言った瞬間、俺を含め全員が驚いていた。その場は沈黙で包まれたのだ。
「頭を上げて!俺はそんなの気にしてないし」
そう言うと、とても安心したような顔になった。この国のヒエラルキーは5層あって奴隷、庶民、騎士や兵士、王家、賢者諸々の家族となっている。つまり、王家の人達よりも俺達は身分が上と言う事だ。
「ノア、久しぶりに私と戦ってみないか?」
「え。別にいいけど、吠えずら書いても知らないよー?」
俺がそう言うと、ルークさんは「言う様になったな」と言って上着を脱いだ。
対決が終わり、俺は爺ちゃんの所に行った。
ルークとは引き分けで終わってしまった。さすがに疲れたよ。
「ノア。どこに行っておった?」
「訓練所。ルークさんに会って来た」
「そうか。さて、わしらは帰るとするよ。まあ、ノアが何か問題を起こしたら飛んで行くからの」
「はい」
「おい。俺は問題なんて起こさないぞ!!」
そう言うと2人は大笑いをした。そして爺ちゃんは馬車に乗り、俺は城に残った。
「爺ちゃん。長期休暇になったら帰るから」
「ああ。学校生活を楽しんでおいで」
「了解です!!」
こうして、爺ちゃんとの別れは終わったのである。
そして俺はまた城に入った。
「ノア、まだ正式に紹介していなかったから紹介をするよ。ここに立っているのがアイーダ=フルト=リファン。王家の次女だ。そして、そこにいる小さい娘は三女のリアナ=フルト=リファン。この子は引っ込み思案でね。まあ、2人とも同じ学校だから会う事も多いだろう。仲良くやりなさい」
「……」
アイーダと呼ばれていた女の子はむすっとした顔で俺を見ていた。
「まあ、いいよ。アイーダさんは俺の事嫌いみたいだし。そうだろうな、爺ちゃんの方がいいよな。じゃ、俺は帰るよ」
そう言って俺は王城をでた。
「姉様。あんな態度はないですよ。私、謝って来ます」
「ふんっ」
俺が出ようとするとさっきの女の子が引きとめに来た。
「待って下さい!」
「どうした?」
「その、姉様の事申し訳ありません」
そう言うと女の子は頭を下げた。あの、初対面で剣を叩きつけようとした凶暴女とは大違いだ。
「いや、いいぞ。それに、この事は本当であればお前は関係ないしな」
「そんなことありません!私の姉妹のしたことです。謝るのは当たり前です。ましてや身分が上の方ですし」
ちゃんとした女の子だと思った。今更だけどなんか、見たことある気がしたけどなんだっけ?
「あ、あのさ、失礼かもしれないけど俺とどこかで会ったことある?」
「はい。というか、私とノア様は同じクラスです」
俺はそれを聞いてギョッとしてしまった。
「わ、悪い。クラスのやつの顔まだ覚えてなくて」
「いいえ。私もさっき会うまでどなたか分かっていませんでしたので」
「じゃあ、お会い子だな」
「そうですね」
そう言って俺達は笑った。そして、俺は王女を出た。
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