第24話 比較
今日の授業は魔導師の歴史の授業だった。とてもじゃないが退屈だ。だが、受けるしかないだろう。
「ノア君。この問題分かる?」
先生が指定したのは魔術師と魔導師がいつ頃対立をし始めたかだった。こんなの簡単だろう。それにこの前授業でやったし。
「今から5000年前程です。当時、精霊の力を借りていた魔術師は禍つものとして扱われていました。そして魔術師と魔導師の対立が始まり、戦争まで発展し戦争後魔導師は地上を、魔術師は魔界にいるという条約で成立しました」
そう言うと、皆は俺をあっけらかんと見ていた。教科書みたいな答えを答えたからだろう。
「見事です。さすが高等級1年主席のノア君ですね。皆さんもノア君を見習う様に。今日の授業は終わりにします」
そう言うと先生は教室からいなくなった。
「ノア様って本当にすごいですね」
そう言ってきたのはアリサだった。とてもアリサも力をつけ、このクラスにも馴染む事が出来た。
「まあな。俺だって勉強してないって訳じゃないし。まあ、ちゃんとやっとかないとアダムに足元をすくわれそうだしな」
「そうだよ。油断してると僕が首席を奪っちゃうんだからね」
そう言って皆で笑っていた。すると、アカリがドアから顔を出した。
「お兄様、お昼ご一緒にいいですか?」
「ああ。じゃ、食堂行きますか」
俺達は立って食堂へと足を運んだ。俺達Sクラスは憧れの存在らしく俺達が通ると他クラスの奴がまじまじと見てくる。あまりいいとは思っていないがアカリはこの食堂の雰囲気と料理が大好きなのだ。
食堂は短い机が数多く置かれている。白で塗られていてとても明るい感じだ。
料理を頼んだ俺達は席に着いた。いつもよりも見られている気がする。それは多分俺とアダムが一緒に食事をしているからだろう。
「黒王子様と白王子様よ!やっぱりかっこいいー」
「ねぇ、あなたはどっちが好み?私白王子様!」
「えー!あたしは断然黒王子様よ!」
ったく。本人がいる前で大きな声で言ってんじゃねーよ。
「ノア、ここに来るの嫌でしょ」
「まあな。人に見られながら食事をとるの嫌じゃないか?」
「まあねー」
俺が立つと、俺の椅子の脚に足を引っ掛けた女子はそのまま前に転倒しそうになった。俺は反射的にその女子のお腹辺りを抑えた。
「あぶね。悪い、大丈夫だったか?」
「は、はい。ありがとうございます」
「いや、俺が悪かったからな。あ、料理落ちちまったな。俺が弁償する」
「だ、大丈夫です!そんなノア様に奢っていただくのは!」
「これは俺の自己満足だ。だから、そんなに遠慮しなくてもいい」
そう言うとアダムが俺の横を入るかのように話しに入ってきた。
「ノアは頑固だから自分がこうと決めたら譲らないんだ。だから、気持ちを受け取ってもらえるかな?」
「わ、分かりました。お言葉に甘えてそうさせていただきます」
俺はその女子を連れて販売場所に向かった。
「そう言えばあんた名前は?」
「り、リナン=アスファルテと申します」
「よろしくな」
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