第3話 王族の子供
翌日、俺達は引っ越す準備をした。試験は1週間後だが、早めに行っておいた方がいいとガングさんが言っていたのでそうすることにした。リビアは荷物がほとんどない為、昨日から泊りに来ている。
まあ、明日は結構早く家を出なければならない。リビアの家は爺ちゃんの家からの方が楽だ。それに、しばらくは爺ちゃんと会えないから挨拶も兼ねているのだろう。
「よし。俺は明日朝早いから早めに寝るよ。じゃ、爺ちゃん。また明日!」
「ああ。ゆっくりお休み」
爺ちゃんは笑顔で俺に手を振った。そして俺も部屋に入ってベッドで寝ころんでいた。爺ちゃんは入学式で会うとの事だ。
俺はリビアと一緒に行ってから、別行動。俺は俺の家があるらしく、リビアは他の家で寝泊りするらしい。つまり、保護者はいるが実際は一人暮らしと言う事だ。
「爺さん、寂しくなるな。あれがいなくなって」
「それはそうじゃろう。それに、こんな時はいつか来ると思っていたしの。根性の別れじゃない。また会える。わしはそう思ってお前も送りだした。だから、そんなに寂しくはない」
「あっそ。ま、爺さんらしいか」
俺が朝起きるとそこにはリビアが仁王立ちをして立っていた。
「おはよう、ノア」
「珍しいな、リビアが早起きなんて。いつも俺が起こしに行ってるのに」
「私だってずっとそのままではないからな」
ん?リビア、何か機嫌が悪いような。気のせいか。
「ノア、また1週間後にの」
「うん!行ってくる!!」
俺達は馬車に乗って家を後にした。
「案外あっさりしてるな。別れなのに」
「だって根性の別れじゃないし。また会えるからな」
「ったく。お前はほんと爺さんに似ているな」
「え?」
俺はその意味が分からなかった。
ていうか、俺実際は血繋がってないんだけど。あ、この体は繋がっているのか。意識は違うけど。
「そう言えば、なんでリビアも一緒に王都に行くんだ?保護者って訳じゃないんだろ?」
そう言うととても厄介そうな顔で俺を見た。
「そう言う所は勘が鋭いよな、お前」
「それほどでもー」
「ほめてない。実はな、私は一応ファリファゴッセ魔導師養成学校の講師をしているんだ。それで、勤務をしなければいけないんだが、ちょっとあって行けてなくてな。まあ、お前の保護者もついでに引き受けたって訳だ」
「ふーん」
俺は自分で聞いておいて結構興味なさそうな声を出した。
「お前、興味なさそうだな」
「だって興味ないし」
そう言うと、リビアは俺のほっぺを抓った。
「分かってたけど言われると腹が立つな!!」
「ひらいひらい!!ほっへがちぎれふ!!」
そう言うと、リビアは手を離した。
ったく、いてーな。ちょっとは加減をしろってんだ。
「まあ、お前は絶対の私の受け持つクラスに入るだろうがな」
「何で分かるんだ?」
「ま、一種の勘だ」
「なんだよそれ」
そう話していると、王都の入口に着いた。
「でかー」
「そりゃそうだろ。この国で最大都市の王都だ。でかいに決まっている」
馬車は止まり、門番が俺達の前に立った。門番は全員リビアを見ると、ギョッとした目で見ていた。
「通行証を出せ」
「おい!リビア様にどんな口を聞いているんだ!?申し訳ありません、この者は新人でして」
「いいや、大丈夫だ。励めよ、新人」
そう言うともう一度馬車に乗った。やっぱり有名なんだな。リビアって。ていうか、そんな奴と一緒にいる俺ってどうなんだ?
リビアはファリファゴッセ魔導師養成学校の前で馬車から降りた。学校長に会わなければならないとか何とか。
俺は城に行かないといけないのだ。一応、国王に挨拶をしなければいけない。それにしても、あんなにほんわかしていたガングさんが国王だなんて信じられない。ちょっと意外。まあ、確かに国王だと言われればしっくりくるし。
「ノア様、着きました」
「あ、ああ」
俺は馬車から推してバカでかい門の前に立った。こんなデカイ必要があるのだろうか。いや、ない!!
「国王陛下、賢者グワム=シュレインゴッツ様のお孫様。ノア=シュレインゴッツ様をお連れいたしました」
そう言うとまたまたバカでかい扉が開いた。だからこんなでかい必要あんのか!?
「やあ、ノア」
「昨日ぶりでございますね、陛下」
そう言って俺が膝を折ると、ガングさんは感心したような顔で俺を見ていた。
「礼儀はもう完璧なんだね」
「はい。陛下が教えて下さった賜物でございます」
そう言うと、ガングさんはとても困ったような顔になった。それはそうだ。今まで対等に話していた人間がいきなり膝を折り、いつもとは違う敬語を使っているのだから。
「なーんてな。俺にはこれは疲れる。だから、もういい?」
「ああ。そこまで出来たら上出来だ」
「あざまーす!!」
俺は元気よくお礼を言った。護衛達も驚いたような顔になって俺を見ていた。すると、一人の少女が怒り面のような顔で俺に近づいてきた。
「貴様、父上になんたる無礼!その首切り落としてやる!!」
そう言うと護衛の持っていた剣を奪い、俺に斬りかかって来た。
俺は当たり前のように立っている。ガングさんも何も言わず見ているだけだった。
そして俺の頭に剣が触れようとした時、その剣は折れて壁に突き刺さった。
「な、ななな!!」
「”
”
「アイーダ。その辺にしておいた方がいいわよ。彼には勝てないわ。彼はとても強い。私でも敵わないわ」
またまた美少女登場。王家の女の子だな。俺よりも明らかに年上だ。
「初めまして、私はファリファゴッゼ王国第一王女。リーファ=フルト=リファンです。どうぞお見知りおきを、賢者グワム=シュレインゴッツ様のご令孫様」
そう言うと綺麗にお辞儀をした。俺も習った通りにお辞儀をした。
「こちらこそ、よろしく。俺はノア=シュレインゴッツだ。ノアでいい。ま、一応あんたたちよりも立場が上なだけに敬語になるとは思うけど、気軽に接してくれると嬉しい」
「ええ」
俺はニッコリと笑った。そしてその後、俺は新しい住居に向かった。
「お父様、あれは珍しい方ですね」
「あまりおちょくっちゃいけないよ」
「分かっております」
「……どうしたんだ?アイーダ」
「べ、別に何も」
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