第22話 リビアのお古

魔導師育成学校編入試験を受けさせることにした俺はアカリに俺が今まで教わってきた知識を全て押し込んだ。そして試験を終えたアカリの級階は中等級2年。わずか6つで中等級2年は結構凄い事らしい。

「お兄様!」

アカリは俺を見付けてお兄様と言った瞬間ギョッとした顔になり、その場にいた全員が俺を見た。

「の、ノア!お前妹がいたのか!?」

「この前引き取ったんだ。名前はアカリ。カリストファー、俺の妹に手を出したら封印するから覚えとけよ?」

「手を出すわけねぇだろ!?そんな恐ろしい事俺ができる訳ない!!」

「ちなみに僕もかな?」

「お前もだ」

「これはとんだ駄々甘やかしっぷりだね」

そう言ってアダムと俺は笑っていた。すると、リビアが俺のところに来た。

「ノア。その子を引き取ったのか。服は……」

「悪いがリビアのを借りた」

「まあいい。アカリと言ったかな?私はリビア=アスコッティだ。お前の兄様の講師だ。そして姉弟子でもある」

そう言うとアカリは礼儀正しく挨拶をした。

「はい。お兄様から聞いております。以後、よろしくお願いします。リビア先生」

「ああ」

リビアは忙しいらしく、すぐに居なくなってしまった。

「アカリ、お前編入生首席だったんだってな。俺も頑張んないと追い抜かされそうだ」

「いえ、お兄様がみっちり教えて下さったお陰です!色々な事を」

そう言ってアカリは頬を少し赤らめた。

「お、おい。その言い方は少し誤解を生むから止めてくれないか」

「本当の事ではないですか。夜にあんなみっちりと教えていただいて、アカリはとても恥ずかしかったんですよ?」

そう言うと、周りは二つに分かれた。一つは顔を真っ赤にして恥じらう様子。二つ目は逆に教えて貰いたいかもと騒ぎだす様子だ。いや、誰か蔑む感じはないのか!?別にそうしてほしいって訳じゃないが……。

そしてご覧の皆さんも誤解を生むようなので弁解をさせていただきますね!

「夜にあんなみっちりと(勉強を)教えていただいて、アカリは(恥をかいて)とても恥ずかしかったんですよ?」とう言う意味ですのでどうか誤解なく!!

家に帰ると、シシリアがいた。シシリアには

俺が出かけている間アカリの洋服を買ってきておいてほしいと頼んでおいたのだ。俺が選ぶと男っぽくなるし、本人は服装にさほど興味がない為一番分かっているシシリアに任せたと言う訳だ。

「ただいま。頼んでおいたの買ってきておいてくれたか?」

「はい。ですが、アカリ様のご趣味に合うかどうか……」

アカリに見せると大喜びで洋服を見ていた。

「このような洋服を私が着てもよろしいのでしょうか?」

「ああ。お前はもう俺の妹でシュレインゴッツ家の一人娘だ。着てもいいんだぞ」

俺はアカリの頭を撫でながらそう言った。だが、礼儀が少し違っていてシシリアも教えるのは大変だと溜息をついていた。長年、奴隷として扱われて来たのだからそれはしょうがない事であろう。

「じゃあ、アカリももう寝ろ。俺も寝るから」

「はい!お兄様!!」

そう言って俺達は部屋に入り、同じベットで眠りに入った。


夜中、俺はなんとなく目が覚めてしまった。すると、アガレスが俺の前に現れた。

「久しぶりだな。どうしたんだ?」

「いや、珍しくこんな時間に起きているのでな。ちょっと出て来てみた。それにしてもお前は本当に気紛れだな」

「どういう意味だよ」

「そのままの意味だ。あと、ソロモンからの伝達でよくない物が来ているから気をつけろとさ」

「りょーかい」

そう言うと、アガレスは指輪の中に消えた。

「さてと、俺ももっかい寝るかぁ」

そう言って俺はそのまま布団で眠った、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る