第21話 新しい家族

俺は少女を連れて王城に馬車で向かった。”飛翔フライ”を使っても良かったのだが、馬車で行くことにした。それに少女と決めたい事があったのだ。

「なあ、お前名前はあるのか?」

「いいえ。奴隷にとって名前をもらうと言う事は解放されると言う事なんです。だから私達は名前をもらったりしないんです」

「そうか。じゃあ、お前に俺が名前をつけてやる。うーんと、アカリはどうだ?光の様に眩しい子供って意味だ」

「アカリ……!」

そう言って目を輝かせた。相当気に入ったらしいな。

「よし!お前は今日からアカリ=シュレインゴッツだ。いいな?」

「はい!」

そう言って手を上げた。

しばらくして王城に着いた俺はアカリをルークさんに任せてガングさんの前にでた。

「久しぶりだね、ノア。今日はどうしたんだい?」

「ちょっとな」

「もしかしてさっきの女の子の事かい?」

「ああ。あの子を魔導学校に入学させてやりたいんだ」

「えっと、あの子はノアが推薦するほど凄い子供なのかな?」

「そうだ。あいつは魔導を教えれば延びる。それに魔導は楽しい事を教えたいんだ。あいつは他人に強要され魔導を使っている。でも魔導は強要されるものじゃない。それをあいつに分かってほしいんだ」

俺は笑ってそう言った。その顔を見たガングさんは満足気にしていた。

「分かったよ。私が紹介状を書いておこう」

「ありがとう!」

俺はそのまま王城を出た時、アイーダに会った。

「何故お前がここにいる」

「国王陛下に用事があってな。そんな睨むなよ。俺はお前に危害を出す気はないし、興味ないし」

そう言うとどこが癇に障ったのか知らんが、アイーダは怒りだした。

「お前は私よりもリーファ姉様の方が好きなんだろ?」

「は?」

「あたしは女っけも無くて、話し方もぶっきら棒だし、目つきも悪い。でも姉様はあたしとは正反対だし?」

それで俺は察した。俺が興味ないと言ったのが癇に障ったらしい。めんどくせぇなぁ。

「いや、別にお前自身に興味ないってわけではないが……。まあなんだ。確かにお前はリーファとは全然違う。だが、人はそれぞれ。そもそも、俺は女という文字の付いている奴に興味ないんだよ。まあもちろん男も興味ないが」

そう言うと、呆気にとられた顔で俺を見た後クスクスと笑っていた。どうしてだか全然分からないが。まあ、機嫌が直ったと思ってよさそうだ。

「まあ、そう言う訳でお前に女っ気がまるでないって訳じゃないぞ。そうだな、顔とスタイルはいいんだしもうちっと女らしい恰好をすればもっと可愛らしくなると俺は思ってる。んじゃ、俺は帰るから」

俺はそのままアカリの待つ馬車に乗った。

「遅かったですね。何かあったのですか?」

「いや、別にない。さて、我が家に帰るとしますかぁ」

俺らは我が家に帰った。

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