その後のお話

 その後、地球圏に存在するドーマ軍と徹底抗戦を行うペガスのクルー達。


 地球人とセイン人は自分達の技術とドーマの技術を積極的に世界各国に譲渡していく。


 第三次世界大戦の火種をばらまいているようにも感じたが宇宙人に滅ぼされるか、地球人が地球人同士の手で自滅するかの二択になるだけだとユーイチは言い切った。


 逆に積極的に譲渡して軍事力のパワーバランスをコントロールする狙いもあり、また地球の宇宙大航海時代の幕開けを引き起こす事で戦争の発生を抑制する狙いもあったようだ。


 そして日本は悲惨な状況へと転落していた。


 国民の国家に対する不満の高まり。


 終わりが見えない暴動の連鎖。


 国際社会からの孤立。


 そして遂に自衛隊がクーデターを引き起こし、日本は内戦状態へと突入した。


 勇治はこの辺りに関してユーイチは尋ねたが「キッカケがあればクーデターが起きる可能性は十分にあった」とだけ答えた。

 

 こうして月日は経過し――


「惑星セインか・・・・・・」


 艦橋の大きなガラス越しに惑星セインを眺める勇治。


 勇治達は惑星セインへと辿り着いた。

 ペガスにはあの頃よりもクルーは増えている。

 当然問題も起きたが、最初の頃に起きたトラブルに比べればへでもない。


 特に日本人が多かった。

 日本と言う国に見切りを付けた人々が大勢居たのだろう。


 もう少しすれば戦闘は始まる。

 かなりのドーマ軍を倒したが流石は覇権国家の恒星間国家であり、倒しても倒しても次々真新しい艦隊が補充されてくる。


 しかし、徐々にドーマ軍の軍全体の質の低下を招いていく結果となる。

 更にはドーマが占領した星々の彼方此方で反乱まで起き始めたと言う。

 風向きは自分達に来ているように勇治は感じた。


「ここまで長かったですね」


 傍にはリミル・アントンがいた。

 どうやら艦長職は一端休憩らしい。

 

「ああ・・・・・・地球圏でのゴタゴタが片付いてようやくだもんな」


「ええ」

 

 そして二人は手を握り合って惑星セインを見詰めた。

 

 果てしなく長い戦い。


 幾度も転機が訪れ。


 そして今度もまた転機が訪れる。


 これからもそうして戦いが続いていき、やがて終わるのだろう。


 勇治はそう感じずにはいられなかった。


【FIN】 

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