第3話「安藤ユーイチはオタクである」
秋月 怜治の親友である安藤 ユーイチは根っからのオタクである。
絵とか描いて小説とかも書き、同人イベントでサークル参加とかもする。
深夜アニメとかも欠かさずチェックする。
オタク街に出向いたり通販利用してその手のグッズを手に入れたりとかもする。
勿論同人とかギャルゲーとかの禁断の領域とかにも手を入れている。
そんな彼は秋月 怜治と出会えて本当に良かったと思う。
そんな彼にくっついて船まで一緒に避難して人型機同兵器に乗って出撃した時はどうなるかと思ったが撃退出来たようだ。
そんで通信が入り、レスキューメカを作って欲しいと言ったので自分が立候補して出動した。
そして完成したのは赤い消防車風レスキューロボだった。胴体はまんま消防車の車体前面部分まんまである。
右肩には放水用キャノン砲。
左肩には消火用のロケットポッド。
手には冷凍ガン、両腕にはフリージングキャノンが付いていた。二つとも出力を調整すれば火災など一瞬で止める事が出来る。超技術様々だ。
本当は消防車への変形機構付けたかったが変わりにバックパックに病人や怪我人を放り込めるレスキューポッドを背負っていた。
サイズも十五m級と小型の部類である。
見た目は新手の勇者ロボだ。ツインアイで口元は縦長の突起物が付いているタイプだ。
それでクマさん型異星人達と一緒に災害出動した。(彼達は背部のレスキューポッドに入れてある)
とにかく目が回るような忙しさだ。
水圧を調整して火を消して回り、要救助者を背中に背負ったポッドに入れて病院まで運んだりした。
そして知った。
人の命を救うと言うのはとても辛い作業だと言う事を。
あれだけ街に攻撃をしていたのだ。
どうしても見たくもないものを見てしまう。
消防隊。
病院の方々。
災害救助を行う自衛隊の人達。
そんな人達がとても偉大に思えた。
街を助ける為に戦った友人は今どんな気持ちなのだろうかと思う。
普段からクールな彼。
オタクだとかそう言うのを関係なく分け隔て接する彼も今懸命に救助活動している。
救助された人々はどう思うだろうか?
とあるロボットアニメで侵略者と戦いながら守るべき人々に迫害を受ける人達を描いた物がある。
人間爆弾だとか最終話で主要キャラが大量に死んだりと色々とハードな展開が今でも語り草の内容だ。
もしかしてそうなるのでは無いかと思う。
もしそうなったら自分の精神は耐えきれるだろうか?
人間の恐さや醜さと言う奴は中学時代に身に染みている。
どうしてオタクになったのかと言うとその人間の醜さを垣間見たからだ。
いじめられる人間。いじめる人間。見てみぬフリをする人間。
それを日常と感じる自分。
その現実に耐えきれなくなり、逃げるように二次元に逃避した。
だが二次元に没頭し、インターネットが普及した世の中でも震災での人間の醜さなどをアレコレと見てきた。
だからとても不安だった。
けれども杞憂だった。
初めてだった。
人々を助け出す行為も。
「来てくれてありがとう!」
「本当に助かりました!」
「息子も無事に助かりました! 何とお礼を言っていいのやら!」
そして口々にありがとうって言われるのも。
(そういや名前まだ付けてなかったな・・・・・・)
そこでふと思いついたのがファイアダイバー。
このロボットの元ネタをリスペクトするに辺りそのネーミングを採用した。
ファイアダイバーに乗るのはこれで、最初で最後かも知れない。
けどファイアダイバーの事は生涯忘れる事はないだろう。
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