第5話「その頃の内閣」

 日本の内閣総理大臣、左田(さだ)総理はとんでもない状況に困惑していた。

 左田総理は万年野党の首相でやっとの事で与党の座を勝ち取った政治家だ。


 とにかく後先考えずに与党を徹底的に批判し、日本ではなく第三国のための政治活動を行い、マスコミや市民団体、無知な有権者達の助力で与党になった。


 インターネットが普及したが何だかんだで今の日本の有権者は暇な老人達で若い人間は選挙には行かない。


 ネットの世界では左田内閣は批判の嵐だが、他国ではどうかは知らないが日本におけるネットの力なんてのは現実世界に影響を及ぼさない。熱しても冷めるのが早い。


 そして上手い汁を啜り、本当の意味で仕えている国のための政治を行おうとした矢先にまさかまさかの地球外侵略者の襲来である。


 その様子はネットでもアップロードされており、とんでもない再生数を記録していてまだまだ伸びている。

 

 特にロボット同士の戦闘はとてつもない再生回数である。


 マスコミは基本視聴率の為なら多少の批判を受けても何でもやる輩なため、情報操作は期待出来ない。後先考えずに煽るだけ煽って後は報道の自由とか権利とか主張して被害者面するだけだろう。


 更に世界各国の大使館から問い合わせが殺到している。

 月の艦隊は何だとか、街に不時着した宇宙船は何だとか、調査団を派遣したいとか――今の外務省は左田総理の意志で動く連中で固めてある。逆に言い換えれば支援者の国の意志通達機関でしかない。そう長くは持たないだろう。

 

 どうすれば良いのか分からなかった。


 正直自衛隊を廃止、最低でも軍縮するのを公約にして当選しているしあまり頼りたくないのが信条だ。それに相手は宇宙人と言う説が濃厚だ。下手すれば日本だけの責任では済まない。


 対応を間違えれば星間戦争が勃発し、自分の名前が歴史の教科書に最悪な形に掲載される事になる。


 だが現状どうして良いのか分からず、取り合えず使える人員を全て神月町にフル投入して現状把握するのが急務だった。

 

 自衛隊の災害派遣は刺激する可能性があったため見送る事になった。

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