第10話 刀身の製作その3
焼き入れした刀身が冷まる間に次の刀身、両刃の製作に移ったアッシュ
「地味に気を遣うんだよなぁ」
鍛造の手順は片刃と変わらないが、両側に刃を付けなければいけない為叩いている内に曲がってしまったり、厚みがおかしくなったりしやすい
「カンカンカン!」
「よし」
叩き終わったらヤスリで整え砥石で磨く、ここも変わらない。違いは焼き入れである、片刃の時は刃の側から冷却材に付けた、両側に刃がある両刃の場合はどうするのかと言うと
「ジュゥゥゥゥ」
片刃の時に使った桶ではなく、縦長の樽に刃先から縦に入れて冷す。片刃用の桶はほとんど使わずに全部この樽で済ましてしまう事が多いのだが、サーベルの様に大きく反った刀身などはこの樽では冷せないので桶の方も置いてある。アッシュが片刃の時にわざわざ桶を使ったのは・・・
「よーし、次も落ち着いてしっかりと・・・」
ちゃんと使い分けないと不安だったからだ
「次は刃無し・・・これが一番めんどくさいんだよなぁ」
愚痴を言いながら刃無しの製作に取り掛かった。鋼材を叩いて針の様に叩いていき
「よっこいしょっと!」
「ガコッ」
鉄床に大きなピンセットの様なパーツを取り付けた、この大きなパーツの間には金型があり、その間に熱した鋼材を入れパーツの上からハンマーで叩くとその形なる
「カン!カン!カン!」
制作した針の様な刀身の断面をその特殊な金型を使い、三角形になるように叩いていく
「断面が四角のヤツなら簡単なのに・・・三角の方が鋭いから注文が多いのは仕方ないけど」
叩き終わったらパーツを取り外し軽く形をハンマーで整えた後、ヤスリにかけ砥石、そして焼き入れだ
「ジュウゥゥ・・・」
そうして三種の刀身の焼き入れが終わった
「ふう、終わった・・・。もう冷めているだろうし、片刃を仕上げますか」
焼き入れした後の刀身の表面には熱で酸化した金属の膜が付いている、その膜を取る為に荒い砥石で磨き落とし、徐々に滑らかな砥石に切り替えながら磨いていく。この時万力で挟んで作業するが、刀身が傷つかない様に万力に木製、もしくは革の緩衝材を取り付け刀身に傷が入らないようにする
「シャコシャコシャコ・・・」
刃はまだ入れない、刃を研いで入れる時は全てのパーツが組み上がった後だ
「ふむ・・・」
砥石で磨き終わった刀身を万力から外し布で汚れをふき取る
「よし!完璧。これは1番っと」
出来上がった刀身にインクで数字を書く、後で鍔やグリップなどの他のパーツを組み合わせる時に各パーツに同じ数字を書いておけば、他のダガーのパーツと間違わないからだ
「次は両刃・・・と」
残り2種も片刃の時と同じように作業していく・・・・
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