第17話 作品紹介:刺突特化?
オレは最後の問題作、刺突特化型を手に取り、親方に説明した
「えー、ではこの刺突特化のダガーの説明をします。刀身は断面が三角形になっているのですが、関節技をかけたいということで太めに作りました。グリップ周りの作りは基本的に逆手でしか使わないと言う事なので、鍔は小回りが利く様に小さく、グリップは柄頭にむかって太くしそれに合わせて柄頭の円盤も大きくなってます。順手での使用は出来ないですね、手首にぶつかってしまいます」
「おう、突き刺した後、抜く時に力が入り易い様にだな」
「柄頭を殴ってもいいように丈夫に作るようにとも書いてあったので、柄頭もふくらみのあるレンズの様な形状で作り強度を上げ、グリップにも割れない様にリングをつけて補強しました。もし刀身を持って握りの方でハンマーの様に殴りつけても壊れたりしないでしょう」
「うむ、いい仕事だ、よく思い切ったな」
オレは説明してて不安だったが、親方はこのダガーの仕様に満足している様子だった
「親方、この依頼者は
親方はオレの愚痴に笑って答えた
「ハハハ、だろうな!まあコイツなりに仕事に適した使用にしただけだ、ふざけてる訳じゃない」
「依頼者の職業をお聞きしても?」
「北門の警備やってる兵士さ、要するに門番だよ。不審者を生かしたまま捕まえたい時に殴ったり組み伏せたりする必要があるからそんな注文をしたのさ」
「それなら、刀身も丸く注文すればよかったんじゃ?関節技もかけやすいでしょうし」
「不審者を捕まえるだけが仕事じゃない、時には相手を即座に無力化…殺す必要がある。呪文を唱えだす、市民に危害が及ぼうとしている時なんかな、捕り押さえるより殺す方がずっと簡単だ。防具を着た相手には刺突特化を持ってるだけで威圧効果がある、チェーンメイルも貫く代物だからな、このタイプのダガーは」
「刺突による高い殺傷力も必要だから刺突特化型のダガーにしたのか、剣や槍じゃとっさに使うのには不向きでしょうしね」
「柄頭を丈夫にしろと注文したのもその辺りが理由だ。オメェも知ってる通りダガーは右腰に下げるのが普通だ、左腰には剣がぶら下ってるからな。ダガーに逆手で扱う戦法が多いのは、右手で右腰のダガーをとっさに抜かなきゃならん時、逆手で握った方が早く抜けるからだ、剣じゃ対応できない緊急時に使う物だからな。この時、抜いてから構えて切先で攻撃するより、抜く動作でそのまま柄頭で相手の顎をぶん殴った方が早くブチのめせる」
「ああ!そういう用途でしたか。オレはてっきり組み付かれたときに頭を殴る為かと・・・」
「それも間違っちゃいない。ところで鞘の作りはどうする気だ?」
「三種類とも同じ仕様のものにしようと考えていますが・・・」
「それで問題ない、しっかりやりな。そろそろ接着剤も乾いてる頃だろ、作業に移れ」
「へい、親方!行ってきます」
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