第13話 リング製作と鞘の下ごしらえ

「カンカンカン・・・」


「あった方が良いよなこれは」


 オレは両刃のダガー本体の製作も終え、最後の刃無しの製作に取り掛かっていた。刃無しのグリップには依頼主の要望道理に頑丈に作る為に、他の二種には無いパーツを付ける事にした。今そのパーツを作っている最中である


「ふん、ふん!」


 そのパーツとは木のグリップの両端にはめ込むリングだ。このリングが有れば木製のグリップに力がかかって割れるリスクが下がる


「カン、カン」


 作り方は、適当な大きさの円盤にした鋼材を熱しタガネを打ちこみ穴を開ける、その穴にさらに太いタガネを打ちこみ広げ理想の大きさに近づけていく、熱して叩く、熱して叩くの繰り返しだ


「鋼材を丸めて鍛着させるのもありだが、部品が小っちゃいと作りにくいんだよなぁ。つなぎ目から壊れてもイヤだしよ」


 穴をある程度の大きさに広げたら、先端に向かって緩やかに細くなっている棒状の芯金と言う鉄床の一種に作ったリングを通して叩き平らなリングにしていく、表面の形を整えつつ、リングは叩かれて穴が広がり下に落ちて行き、更に穴が広がる


「これでOKかな?よいしょっと」


 冷ました後、リングをグリップにはめサイズを確認、丁度いい大きさだ。芯金のおかげでリングの内側は滑らかだ、ヤスリで整える必要は無い。リングの外側をヤスリで整え砥石で磨く、リングの内側の酸化膜も砥石で落とす


「ギュ…」


 出来上がった二つのリングの汚れをふき取り、グリップを立てに置きリングの片方を上に乗せ、木槌で叩いてはめ込む


「コンコン」


 はめたらひっくり返し、同じ手順にもう片方のリングもはめる


「よし、しっかりハマってるな。コイツも組み上げちまうか」


 他の二種と同じ手順で組み立て、刻印を入れる


「よし!三種とも完成だ!鞘の方も早く作らな・・・・」


「おーい!そろそろ閉めるぞヒヨッコ!」


 鞘を作ろうと思っていたら、親方がそろそろ閉めると声をかけて来た


「え!もう!?すみませーん!鞘作るんで接着剤使いたいんです、貼り合わせる所までやらせてください!」


「仕方ねーな!近所迷惑にならねぇ様に静かにやれよ!火は全部落とすからな」


「ありがとうございます!」


 親方から許しをもらい作業に移った。鞘用の二枚の板にそれぞれ印をつけ両方に刀身が入る部分に下書きし、下書きに沿って彫刻刀で彫っていく


「えーと・・・」


 刀身と見比べ形が合うように彫る深さを決め作業していく、掘り終わったら板を合わせ刀身を差し込み大丈夫か確認する。他の二つのダガーの鞘も同じ手順で掘っていく


「よしよーし」


 三種類分の鞘の溝を掘り終え。二つを貼り合わせる為に接着剤を塗り慎重にくっつける


「後は・・・」


 合わせた三つの板を乾燥に使うの大きな板で挟み特殊なクランプで固定し圧力を加え置いておく、こうすればしっかり接着され明日には接着剤も乾いてるはずだ


「ふー、今日はもう終わりだ・・・工房のチェックして寝よう」


 工房の火が完全に消えているかチェックし工房から出た


「よ、お疲れさん」


「親方、まだ居たんですか」


 工房から出ると親方が椅子に座って酒を飲んでいた


「一応、目を付けとかないとな。ほれ、ブルーノ小僧からの差し入れだ、休憩入れずにぶっ通しで作業してから飯食ってねえだろオメェ」


「あ」


「ぐぅー」


 親方に言われてきづいたとたんオレの腹の虫が鳴った


「ちゃんと胃の物入れないと力でねぇぞ、気を付けな」


「すみません、いただきます」


 親方からチーズとサラミを挟んだパンと水をもらい、食事にした


「もぐもぐ、後で先輩にお礼しないと…ハグハグ」


「ヒヨッコ、今日もここで止まりか?」


「え?あ、もう遅くなってますし、そうなりますね」


「じゃあこれ使え」


 親方から丸まった絨毯の様な物を渡された


「俺が冒険者として修業してた頃に使ってたスリーピングマットだ。床や地面は身体から熱を想像以上に奪うから毛布だけだと風邪ひくぞ」


「お、何から何までありがとうございます」


「じゃあ、俺は部屋に帰るからな、明かり消せよ」


「へい!」


 親方は帰って行き。オレは食事を終えた後眠りについた

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