第12話 グリップの製作

 オレはグリップに使う木材を手に取り万力に固定した、木材は予め加工しやすい様に手を加えられた物で、タングが通る中心部分をドリルで開けた丸い穴が貫通している


「ギコギコ・・・カラン」


 木材を丁度いい長さに鋸で切り、切り口を木工用のヤスリで整え


「1っと」


 作業し易い別の万力に固定直し、木材の両側の断面部分の刀身側にしたい方に印をつける。これから中心の丸い穴に細長いヤスリを通して削りタングに合う四角い穴にするためだ


「慎重にいくぞぉ・・・」


 わざわざこんな事をしなくても二枚の板の中心にタングに合う溝を彫刻刀で彫った後、接着剤で張り合わせ紐や革で補強する方が楽だ、剣のグリップは大体そういう構造になっている。その方が強度は下がるが、割れが起きたり何か異常が起きた時に接着した部分から引っぺがして新しいグリップを付けやすいので後でメンテナンスもしやすい


「ギコギコ・・・」


 だが今回はその方式で作らない。今回作るのは安物のダガー、何か不具合が発生したらメンテナンスせず捨てて新しい物を買う客が大半だからだ。面倒だが木材の塊から作り強度を確保して、割れにくく作った方が長く使ってくれるだろう


「えっと、こんくらい・・・まだか」


 ダガーの刀身に鍔を取り付けてから、木材の穴にタングを差し込み合っているか確認する。穴が長い分、調整するのが難しい


「カポッ」


「よし、やった!さて・・・」


まだ四角い角材の様な状態だ、グリップの形に加工するため専用の万力に両端を挟むように固定する


「シュ、シュ」


 固定した木材をナイフで削って形にしていく、大体の形になったらヤスリで整えていき、差し上げに油をしみこませた布で磨き表面を滑らかにする


「ふぅ、こんなもんか、後は・・・」


 ”柄頭の加工に移りましたが、今回は鍔と工程がほとんど同じの為、詳細は省かせていただきます”


「よし、出来たぞ!後は組み合わせて完成だ!」


 オレは部品を拭いて改めて綺麗にし、刀身を固定する特殊な万力に固定、方向や順番を間違わない様に組み合わせた


「カチ、カポン、チャリン」


 組み合わせた後、柄から余ったタングの部分が伸びている。そこをハンマーと専用のタガネで潰し固定した


「カンカンカンカン!」


 固定した後、万力から外し各パーツに書いてあった印もふき取る


「やっと一本出来た。おっと、刻印を入れないと」


 最後の仕上げに刻印を打つための台に置き、再作された工房のマークと製作された年、作った職人のイニシャルを入れた


「鞘も出来たら一緒に魔術処理してもらわないとな。どんどん作っていくぞぉ」


 鞘の製作は後回しにし、両刃の柄の製作に移った

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