第28話 訓練用防具着用
親方に言われ着替えを始めた
「ういしょっと。これ暑いんだよなぁ・・・」
「鉄火場に立つよりましでしょう」
「そうなんですけど、なんかこっちはこっちで蒸し暑くて、また違う暑さじゃないですか」
オレはそう雑談をしながら首に防護用のスカーフを巻き、布の
「こんなもんか…なっ」
そしてバイザー付きの兜をしっかりと頭に固定する様に被り、訓練用の篭手を手にはめた。この篭手はパットの入ったミトンのような見た目だが人差し指が独立していて、剣の鍔に人差し指をかけて握る戦法に対応できるようになっている
「よっ」
この篭手の人差し指の部分が怪我の防止の為、手の甲側から親指側に囲むように広めにパッドが入っているので太く見える。この見た目からオレは初め人指し指と中指を一緒に入れようとしてしまい、親方に何アホな事やってんだと怒られてしまった事が有る
「先輩、チェックお願いします」
「はい」
オレと先輩は互いに防具におかしなところが無いか見てもらい、安全確認をした
「大丈夫ですよアッシュ。私のもお願いします」
先輩のガンビスンは身体に合わせ腰の部分が細くなっており、ベルトを巻かなくてもいい様になっている。オレも自分のサイズに合った物を買う様に先輩に進められてはいるが、今ので十分だし面倒くさいので今着ている量産品の安いのを使っている
「へい。・・・・先輩OKです」
そして俺達は外に出て訓練場に向かった。外には親方が手に
「おう、剣は用意しておいたぜ。さっさと位置につけ」
「へい」
「はい」
オレと先輩は地面に置いてある二振りの剣の間に立つ。剣は先の丸い直刃型の練習用ファルシオンで刃は無く、先の厚みが薄くなっていて当たってもしなって刺さらない様になっている。剣の重心バランスにも気が配られていて本物と同じ重心位置に仕上がっている。それを見て少し抵抗があったオレは親方に聞いてみた
「鉄製か…、木剣じゃないんですね親方」
「木製だと刀身の厚みや縁の丸みで、バインドした際の感覚が変わっちまうからな。まだ鉄製でやり合うのは怖いかヒヨッコ?」
鉄製の訓練用剣はコストがかかるので、武術ギルドでも人数分は置いていない場合がほとんどだ。ギルドの前を通る時に本物に似せる為、色を塗った木製の武器で練習している風景はよく見るし、ファルシオンの練習用の剣デュサックを使ったスポーツもあり、オレもこの武器屋に入る前から近所の連中とよくデュサックを打ち合って慣れてはいるのだが・・・
「正直に言うと、まだ抵抗がありますね。どう殺すか、その為にどう効率的に出来た道具か散々習って来た訳ですし、それが武器を持った時や向けられた時に頭をよぎるんですよ」
「だったら、その剣が訓練の為にそれなりに安全に出来てるのもわかるだろ。しっかり慣れておけ、おっかなびっくりやってるとヒヨッコだけじゃなく、相手にしている小僧も危ねぇからな」
「へい」
「ま、危ない動きをしたら俺がコイツでしっかり止めてやるからよ、あんま緊張するな」
そう言って親方は持ってるクォータースタッフで地面を突いてオレに笑って応えた
「双方位置についたな、剣を取れ」
親方の指示でオレ達は地面においてある柄が向いた利き手側にある剣を手に取り
「「カチッ」」
構えた
ここは武器屋ですか? 軽見 歩 @karumi
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