ダガー編オマケ2 武器は装備しないと使えないぞ
親方はベルトと何本かのダガーを用意して、講習を始める準備をした
「用意は良いなヒヨッコ?」
「へい!親方」
「よし、じゃあお前の腰に何本かダガーを吊るすからじっとしてろ」
親方はオレの腰にベルトを巻き、2本のダガーをそれぞれ違う位置に紐で吊るした
「まず、もっとも一般的な右腰に吊るすタイプだ。左腰に剣を吊るしてるから、その邪魔にならない位置で”とっさの時”に逆手で素早く抜く事が出来る」
「順手で抜いてはダメなんですか?」
「もっともな疑問だな。多くのダガーは順手で持った時に効果を発揮すようにデザインされている、順手に持った方がリーチも長く向かい合った戦いでは有利だからだ。だがそれはダガー同士での戦闘を考えて設計したから・・・、そう理想道理にいかない事の方が多い」
親方は練習用のロングソードを持って、俺の周りをグルグルと回る様に歩きながら説明を続けた
「まず”とっさの時”に使うっていうのが曲者だ、武器を抜いた状態で戦いが始まるとは限らない。どういうことかと言うと・・・・ヒヨッコ、オレは暴漢だ!右腰のダガーを順手で構えてみろ!」
「っ!」
急に大声を出した親方に反応してオレはダガーを抜いて構えたが
「カンッ!」
親方のロングソードで叩き落とされてしまった。そして親方は叩き落としたダガーを拾い上げ説明する
「ダガーよりも重く、しかも両手で扱う武器の勢いが乗った一撃を片手で扱う小さなダガーで完全に受け止めるのは不可能だ。機動力を生かして捌くことは出来るが、とっさの時は力んじまって上手く捌けない事が多い、今みたいにな」
親方はそう言ってオレにダガーを返した
「ヒヨッコ、今度は逆手でやってみろ。タイミングを見計らってまた打ち込んでやる」
親方はオレから離れてまたグルグルと俺の周りを歩き始めた。しばらくすると親方の掛け声が響き
「えい!」
ロングソードが振り下ろそうと飛び込んでくる。オレは親方の指示道理、逆手でダガーを抜く。二回目と言う事もあるだろうが、逆手で抜いた時の方が鞘から素早く抜け余裕だ出来た。オレは逆手で持ったダガーを腕に沿うように持ち、振り下ろされるロングソードの一撃を横斜めに受け流した(空手の上段受けに似た動き)
「シャーァン!」
受け流しによる刀身の同士が擦れる金属音が響き、親方がスッと間合いから離れてから聞いてきた
「感覚は掴めたか?」
「へい、こっちの方が素早く抜けますし、力が入る気がします」
「手の構造上、逆手で握った時の方が力が入るからな。それに腰のダガーを抜くに順手だと窮屈で抜きにくい。40cmを超えるダガーを順手抜きしたきゃ、反対の方の手で抜くか、携帯する時にダガーを腿に縛り付けるか・・・もしくは腰の後ろに水平に縛り付けるんだ」
「オレが街で見たヤツですね」
「ああ、さっき一緒に縛り付けたろ。試しに順手、逆手両方で抜いてみな」
オレは言われるがまま、試しに腰の後ろのダガー抜き刺ししてみた
「シュ、カチッ、シュ、カチン」
「こんな実用性があったんですね。どちらの握り方でも違和感なく抜くことができます、鞘に納めにくいのが難点ですけど」
「鞘を目視しにくいからな。だが致命的な弱点がある、反対の方の手で抜けないって事だ」
「ああ・・・確かに、利き手を封じられると武器が抜けないのはマズイですね」
親方は自身の腰にもダガーを水平に取りつけ、壁際に立ちながら説明する
「それにこんな感じで横に障害物があると抜けない」
「コツン」
親方がダガーを抜く動作をしたが壁にぶつかって抜けなかった
「さっきこの携帯の仕方は見栄えが良いと話したが、それは裏を返せば目立つって事だ。抜いたら直ぐ相手は反応して来るぞ」
そう言いながら親方は壁から離れてゆっくりと抜いて見せた。確かに目立つ、抜いてる途中でも刀身がギラリと光ってドキッとする
「確かに直ぐ反応してくるでしょうね・・・と、なると実用性は薄いんですか?」
親方はダガーを鞘に戻して、オレの質問に答えた
「いや、そんなことは無い。相手を押し倒して、いざ武器を抜こうとしたときに右腰だと手を抑えられて邪魔されるが、腰の後ろだと比較的簡単に抜ける。腹の前に水平に縛り付ける場合もあるがな」
「へぇ~・・・鞘の位置だけでも色々と工夫があるんですね」
「昔からよく言うだろ、武器は持ってるだけじゃ意味がない・・・しっかりと武器を握って装備しなきゃ使えないってな。腰に武器を刺してるだけじゃ意味がねぇって事よ、如何に必要な時に使えるか考えないとな」
「ほぉ~、よく聞く言葉ですけど、ちゃんと実践するとなると難しいんですね」
親方は頭をかきながら笑った
「ハハ、そう言うこった。あ~そうだ、この腰の後ろダガーを相手から隠して抜いて戦う戦術がある、教えてやろうか?」
「へい!お願いします!」
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