24 (Sat) 18:00 ホワイトクリスマスの災難



「あ、お疲れ」


「うん、おかえり桜庭」


 ツヅラの家に寄ってからうちに帰ると、水川がちょうど上がる準備をしていた。そういえば彼女の今日のシフトは10時から18時まで。よかった、ギリギリ間に合った。


「外寒かった?」


 僕は頷く。水川は「そっか」と言って締め作業に戻る。夕方から雪が降り始めて、路面にうっすら積もっている。気温も急に下がったから、指先は感覚なくなるくらいに冷えてしまった。


「あのさ、水川……」


 僕はアパレルショップの紙袋を後ろ手に持っていた。水川はきょとんと首を傾げている。


「今日はさ、その、なんというか……」


——ああ、改めてプレゼントなんて恥ずかしいな!


 そもそも僕たちは別に付き合っているとかそういう関係でもないわけで、プレゼント交換しようって前もって打ち合わせとかしておけば自然に渡すこともできたかもしれないけど、こうして一方的に渡すっていうのはなんというか、まるで、まるで僕が……




「雪乃ちゃん! あなたが使ってるのって岩城線だっけ?」




 母さんがドタドタと足音を立てて店の方にやってきた。水川は母さんに向かって頷く。くそ、台無しだよ! ちなみに岩城線というのは水川の住む隣の県まで行ける唯一の路線だ。


「今ニュースでやってたんだけど、あの路線が通る辺りが大雪で運休だって」


「え……?」


 水川が目を丸くする。岩城線が止まると、彼女には帰る手段がなくなってしまうのだ。


「夜も再開見込み無さそうだし、今日はうちに泊まっていったら? おうちの方には連絡しておくから」


「「ええっ!?」」


 思わず水川とハモってしまった。母さんはそんな僕らにお構いなく、店の子機を取ると水川の家に電話をかけ始めた。




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