ドレスコードとレストラン パレルモ
海外で夜食事しようというときにちょっと厄介なのが日本では馴染みの薄い“ドレスコード”。食事以外でもチラホラ目にしますよね、コレ。
ちょっと整理してすっきりしておきましょう。
ドレスコードはカジュアル、インフォーマル、フォーマルの三つが基本。具体的に規定しやすい男性の服装が基準デス。女性の服はヴァリエーションが豊富、線を引きにくいですからネ。
カジュアルはノーネクタイにジャケット。インフォーマルはジャケット&タイ、フォーマルはタキシードかダークスーツ。それぞれの境界線はけっこうファジーですが、ざっくりとこんなカンジ。
それぞれをイメージでいうと、カジュアルは銀座のお洒落なフレンチでお友達とコースのランチ。インフォーマルはホテルで立食パーティーとか結婚式の二次会。フォーマルは結婚披露宴といったトコロ。
そんな場面で着る服をイメージすればオッケーかと。
ちなみに、最近ミシュランスターレストランなどでよく使われる”スマートカジュアル”はインフォーマルの少しユルめ。堅めのカジュアルといったところ。タイはなくてもキチッとした装いを、ということデス。
この三つのドレスコードの中で気をつけなければいけないのがカジュアル。日本でカジュアルというと普段着に近い軽装のイメージ。
でもドレスコードのカジュアルはインフォーマルほど堅くなくてもOK。それこそカジュアルなジャケットにネクタイ無しでいいですよ、というくらいの意味。
カジュアルといっても決して“何でもアリの軽装”ではございません。
そもそも、夜に軽装で行ける雰囲気のレストランはあまりありませんしネ。
たとえ昼間は気軽な雰囲気に見えるレストランでも夜はガラッと変わるもの。
シチリア島のパレルモへ行ったときの事。
タクシーのドライバーも驚くほど六月にしては蒸し暑い日が続いていたパレルモ。でも夜のお出かけの頃には海風も流れてケッコウ快適。月も出て気持ちいい夜。
到着したレストランは旧市街のほぼ中心。ホテルで聞いていたとおり地元の飾らない小さな店。店内はテーブルが二つ三つあるだけ。ただ外にはテーブルがたくさん。イタリアではよくあるパターン。私たちも石畳に置かれた外のテーブルへ。
で、ご一緒した皆さん・・。
「外で夕食って久しぶりネ・・」
「お客さん、誰もいないのね」
「カジュアルなお店ね。もっと軽装にしてくればよかったわ」
そのお言葉は“ここでディナーなの?”というコト。ちょっとご不満なんですネ。確かに石畳の上のテーブルは不安定で多少揺れるし、まあエレガントとは言い難いのは確か。
でもホテルの推薦ですからネ。しかもパレルモでも別格の超高級ホテルの。間違いはないハズだけど・・。
そんな心配も料理が出てくるとサヨウナラ。どの料理もハイクオリティ。特にイカ墨のパスタは一同絶賛。今まで食べた中で最高という文字通りお墨付き。
美味しい料理に空気もほぐれてきたころ、となりのテーブルに現れたのが同じホテルで見かけたアメリカ人の家族。アチラも私たちに気付いて軽くご挨拶。
「ココ、皆さんもホテルのご紹介?」
「ええ、そうなんです。さすがにどれも美味しいですよ」
「それは楽しみです!」
それを聞いていたコチラのひとり。
「さすがあのホテルの紹介ね。美味しいはずだわ。それに見て。いい雰囲気よ」
いつの間にか外のテーブルはいっぱい。夜のとばりが下りた薄い闇の中にテーブルのキャンドルがいくつも浮かんで幻想的。そしてテーブルに着いている方々、皆さんキレイな格好。となりのアメリカ人家族もジャケットこそ着ていませんがパリッとした夜モード。
「ホント、いいムードね。お客さんもみんなお洒落で素敵。料理も美味しいし雰囲気もエレガントでここ最高」
異議ナシ。
アレ、でもさっき皆さん“カジュアルな店、軽装で来ればよかった”みたいなこと言ってませんでしたっけ・・。
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