油断もスキも・・・ サン・セバスチャン
旅先の街をブラブラ歩くのは楽しいもの。目的地へ行く途中に寄り道して思わぬ発見をしたり、バスや電車を使って目的地までジモッピー気分を楽しんだり。
でも周囲の不埒な輩にはちょっと注意が必要。人混みにスリやひったくりが紛れているかもしれませんからネ。
ただ、あまり神経質になってはせっかくの旅がつまらなくなります。まあ間違い探しならぬ泥棒探しくらいの気分で周りをチェックしておきましょう。慣れると不審な動きをする輩をケッコウ早く見つけられようになりますヨ。
フランスの大西洋側を旅していたときのこと。スペイン国境の近くまで行ったので、ちょっと足を延ばしてスペインのサンセバスチャンという街へ。
サンセバスチャンはフランス国境から20キロほど。ビスケー湾の真珠と称される海辺の美しい街。僕たちは滞在していたフランスのビアリッツから一路サンセバスチャンへと高速道路で向かった、のですが・・。
ドライバーさん、サンセバスチャンの出口をあっさり通過。
「え?」
しばらくして気づいたドライバーさん、慌てて次の出口で降りましたがしばらく道は一本道。どんどんサンセバスチャンからは遠ざかってゆくカンジ。
「まあ、俺に任せておけ・・」
ちょっと不安げな僕たちにドライバーさん。
で、あっちで道を聞きこっちで道を聞きようやくサンセバスチャン方面へ復帰。
そして“ほら大丈夫だろ?”みたいなドヤ顔。
でもアナタが道間違えなきゃとっくにサンセバスチャン着いてますけどネ・・。
ま、いろいろありましたが無事?サンセバスチャン到着。
まずはモンテ・イゲルドへ。ここはサンセバスチャンに来てこの山(丘?)に登らないと意味がないというスポット。眼下にコンチャ湾とサンセバスチャンの街が一望できます。
コンチャとは貝殻の意味。外海のビスケー湾から、その貝殻のカタチにくりぬかれたブルーの入り江と白いビーチ。そこにそって広がるサンセバスチャンの街。見事なコントラスト。絶景デス。確かにここははずせません。
山を下りて旧市街へ。
スペインの街の旧市街はどこかエキゾチック。中世の街並みにアラブの香りがブレンドされているというか、ちょっと妖しげ。細い路地を歩いていると、どこか知らない国にワープしてしまいそうな不思議なカンジ。
そんな路地を抜けるとパッと道が開けて眩しいばかりの光に溢れた海岸通り。モノクロの世界からいきなりフルカラーの天然色。サンセバスチャンはビーチリゾートですからネ。
せっかく海岸通りに出たので少し海沿いを歩くことに。
海辺の道は芝生の遊歩道になっていて道路側と海側に分かれています。Hさんご夫妻は海側がいいと僕たちから少し離れていきました。
と、旧市街の出口のカフェに座っていた数人が怪しげな動き。
Hさんたちの方を見てこそこそ何か話したと思ったら、立ち上がって後を追うように歩き始めました。
やっぱり、こういうのが出てくるんですよねえ。
不審な輩たちはどんどんスピードを上げてHさんたちに近づいていきます。もう間違いナシ。全くなんというか・・。
もちろん、このままにはしておけません。僕もHさんのほうに近づいて・・といっても芝生を横切るだけなんですけどネ。大きな声で呼びかけます。
「Hさん、後ろ!」
振り返るHさん。
立ち止まる不審な輩たち。
老夫婦二人だと思ったら、すぐ近くに連れがいてビックリした様子。顔を見合わせてUターン。アジト?のカフェの方へ戻っていきました。
でも、敵もさるもの。考えてます。
旧市街は路地も細いし人も多いので自然に周りに注意しながら歩きます。でも、そこを抜けて開放的な海岸通りに出るとちょっと気が緩みます。そこを彼らは狙っているんですよネ。
全くもう、油断もスキもあったものじゃない・・。
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