王家の谷を眺めて贅沢なアペリティフを・・ルクソール
暑い、とにかく暑い。体に強い日差しが突き刺さるような物理的な暑さ。
10月も半ばだけれども、ルクソールでは日中まともに行動できるのは午前中 と日が陰る夕方だけ。
実際、昼食にほんのちょっと外に出ただけなのに暑さが耐えられる限界を超えてます。
ホテルに逃げ帰るように戻るとエアコンの何とも心地よいこと。
まさに”灼熱”のエジプトでは涼しさはこの上もない贅沢。そしてその涼しさの中、すーっと眠りに引き込まれてゆく。いわずもがな、コレ極楽。
昼下がりのしばしのうたた寝を楽しんだ後、目覚ましにホテル内を散策。陽は少し傾きかけています。
サンセット・テラスという名にひかれ中庭 に出てみると、その名のとおり大きなウッドテラス。眼の前はナイル川。
そのナイルの手前、ウッドテラスの一段下にはプールがあってこれが結構な賑わい。
エジプトとプールという取り合わせは少しミスマッチな気もするけど、これが何とも気持ちよさそう。
考えてみれば当たり前。40度の灼熱の中です、エアコン も贅沢ですがプールという水遊びもコレまた極楽。
こちらの極楽を楽しんでいるのは見た限りほとんど欧米人。
彼らは午前中少し涼しい時間帯にツタンカーメンの墓などの観光をして、暑い昼間はホテルやプールでクールダウン。そして 陽が落ちたらまた街を散策。アチコチ動き回る(連れまわされる?)旅より断然楽しそう・・。
確かに、考古学者でもない限り灼熱の 中遺跡巡りをする必要はありませんものネ。
僕ひとりしかいないテラス。空は油絵具のような厚みのある青から薄い水彩画のようなブルーに。少し経つとそこに紅が少しずつ差されて薄いピンクへと、流れる時が空いっぱいに映し出されて ゆきます。
いやー、ビールが進む。
静かに流れるナイルの向こうにくっきりと浮かび上がる丘の稜線。そこに大きな太陽がゆっくり降りてゆき、 一際鮮やかな光を四方八方に放ちます。
エジプトで古代から神と崇められてきた太陽。目の前にあるのは確かに神。
眼の前に流れるナイル。そこから向こうに広がる丘は紀元前 からそう変わらない風景のはず。そう思うと数千年前と同じ”神”を古代の人々と共有しているようなちょっとロマンティックな気分に。あ、ちょっと酔ったカナ・・。
それに、何千年という時間の流れの中では人間の一生などほんのかすかな”点”くらいのもの。そのかすかな点の場所 だって自分で選ぶことはできないし。はかないなあ・・とも。
でも、人生には諸々悩むことはあるけれども所詮かすかな点くらいの一生なのだと思うと ”あまり、あがいてもねえ”という気持ちにもなります。
うーん、ちょっと哲学的。やっぱ酔いがまわっているかも。
陽が沈み、向いの丘のふもとに灯りがポツリポツリと浮かび上がってきます。そのあたりが”王家の谷”だと、ウェイターさん。
太陽が沈んでいったのはまさにその上の稜線。
どうやら僕はナイル川越しに ”世界史の奇跡”と呼ばれる場所を最高のタイミングでひとり占めしていたみたい。 アルコールをお伴に。
サンセット・テラス。なるほどネ。
どうりでビールがおいしかったはず、 夕食に向かう前のゴキゲンな一杯(あ、二杯だった・・)になりました。でも食事の前なのにちょっと酔っちゃったかも・・マズイ!
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