ホテルチョイス、間違えるとやっかい バルセロナ

 ホテルを値段や雰囲気だけでザックリ選ぶのは結構キケン。まあ何事もなくスルーできるケースも多いのですが、ときにはババを引いてしまうことも。


 例えば、ウェブサイトで見ると場所も便利でインテリアもお洒落、値段も手頃。で、実際ホテルに行ってみると・・。

 確かにお洒落なホテル。でもロビーから続く広いバースペースがどうやら地元の人気スポット。深夜までワイワイがやがや。それに便利なロケーションのせいでホテル前の通りは夜中まで人通り&車のクラクション。なんていうことも。

 

 この乗り、若くて元気いっぱいな頃ならいいかもしれないけどオトナといわれる歳になるとさすがにツライ・・。


 こういうミスマッチを避けるのに参考になるのはホテルの各種クチコミ。ホテルのウェブサイトと違いネガティブな意見も載っていますからネ。その中に自分の”これだけはイヤ”というNGアイテムが登場していないかチェック。あれば当然パス。

 これだけでもババ引くキケンをかなり避けられるハズ。


 といっても、まあ最終的には危険?を察知する”カン”が大事(こう言ってしまっては身も蓋もないか・・)。

 バルセロナに対照的な二つの高級ホテルがあって、どちらに泊まるかちょっと迷ったときの事。危うく・・。


 バルセロナといえば建築家アントニオガウディ。サグラダファミリアをはじめ彼の設計した作品がバルセロナの見所。そしてカタルーニャ広場とランブラス通りを中心とする趣ある旧市街の散策も楽しみ。


 ということで、ホテルは中心部で旧市街にも近いエル・パラスを選択。


 ここ、以前はホテル・リッツ・バルセロナだっただけあってさすがに豪華。上品なセニョールが迎えてくれる雰囲気抜群のエントランスとロビー。そこから続くシャンデリア輝く広く煌びやかなサロン。これぞクラッシックという美しさ。

 館内も天井は高いし廊下や階段も広くて、まあ立派なお屋敷といったカンジ。部屋?言うまでもありません。広くて上品。快適デス。

 こういうホテルは、この空間にいるだけで心地よくなりますねえ。ゴキゲン。


 ある晩、せっかくスペインに来たんだからフラメンコを見に行こうということに。


 フラメンコはアンダルシア地方が本場。なので、バルセロナにあるのは観光用にショーアップされたものが中心。それでも実際見ると十分迫力があるし、ショーアップされている分私たちのような素人にはかえって楽しい。


 それに食事がてら早い時間から見られるのも便利。いわゆる“本物”は夜遅くから深夜ですからネ。けっこう気合が必要。軽い気持ちで楽しむには観光用で十分かと。


 フラメンコを観終わってもまだ日は沈んでおりません。夏のスペインで日が暮れるのは九時を過ぎてから。ホテルに帰るのもちょっと中途半端な気分。


 そのときふっと頭に浮かんだのがホテル選びで迷ったもうひとつのホテル。確か海辺の高層ホテルで、眺めの良いバーがあるはず。

 皆さんに話すと即決でレッツゴー。


 僕も当然そのホテルに興味があったのですが、お客さんもしかり。雑誌で“バルセロナの二大高級ホテル”という特集をみてから、もうひとつの方が気になっていたと。


 タクシーでホテルのあるベイエリアに入るとここは旧市街とは違うバルセロナのもうひとつの顔。海辺の道路沿いにネオンサインのオープンレストランやショップが並んでいて、多くの人が持つバルセロナのイメージを覆すアーバンリゾートの趣。


 ホテルはそんな新バルセロナのランドマーク。


 ホテル内もそれにふさわしくポップでコンテンポラリーな空間。それもかなりデフォルメされていてフロントもサロンも近未来の映画ばり。

 うーん、ハイセンスといえばそうなんですがちょっと行き過ぎのような・・。


 でも最上階(だったカナ・・)のバーからの景色は最高。暮れてゆくバルセロナの街と海岸線を遮るものなく見渡せます。絶景です。周りはカップルばかりですが・・。


 で、帰りの車で皆さん。

「ここはバーだけ一回来ればいいわね」


「早くホテル・パラスに帰りたいわ」


「イガラシさん、こちらのホテルを選ばないで正解。落ち着かないわ、あの雰囲気。もしホテルこっちだったら怒りまくるかも、ハハハ」


 ですよネ。


 でもホテル選ぶとき、景色よさそうだしこういうのも面白いかもって一瞬考えたんだよなあ。もう少しでババ引くとこ。危ない、危ない。

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