ふさわしい装い、ふさわしい気持ち 大事デス・・ パリ・リッツ
ボロは着てても心は錦。人間、見た目より心が大事、なのは浪花節の世界でのオハナシ。海外では“clothes make the man”という諺どおりで、目に見える身なりがとっても大事。
エレガントな場所はエレガントに、カジュアルな場面には軽やかに。その場にふさわしい装いをすると、自分の気持ちも自然とその場に馴染んでゆくものデス。
以前友人とパリへ行ったときの事。
(リッツ改装前だからもうケッコウ経つなあ)
食事をした後、チョット一杯ということに。で、かのダイアナ妃がよくお寄りになっていたというホテル・リッツのバーへ。
昼も重厚な雰囲気のリッツ。夜になるとなおさら威厳を感じるエントランス。そのせいかドアマンも遠目にはちょっとコワモテ風。これがケッコウなプレッシャー。
実は以前モナコの超高級ホテルでドアマンに「ご宿泊のお客様ですか?」とやんわりと断られたことがあり、そのときの事がちょっと頭に・・。でも近づくと「ボン・ソワー」と優しそうな笑顔でお出迎え。ほっとします。
まあ、モナコのときジャケットは着ていたのですがノーネクタイでしたからね。その後そのホテルに泊まる機会がありましたが、いや、夜はスゴイ雰囲気。タキシードやドレスの社交界といったカンジで、ノーネクタイのお気楽モードではとてもとても・・。
そんなこともあったので今回のリッツへは渋めにフォーマルタッチ&ネクタイ着用の“完全武装”。そのかいあって?無事入場。
さすがパリ・リッツのロビーは豪華で重厚。やはり完全武装してきてよかった。
目指すヘミングウェイ・バーはラウンジを通り過ぎて細い廊下の一番奥。そこに着くまでも何人ものホテルスタッフに笑顔で「ボン・ソワー」と声をかけられます。
そんなときもホテルにふさわしい装いをしていると、余裕をもって挨拶を返して微笑むことができます。気持ちイイですよ。
ヘミングウェイ・バーは壁面が木目で想像していたより明るくちょっとカジュアル。でも壁にはココを訪れた著名人のポートレート。うーん、合衆国大統領をはじめビッグネーム揃い。
なのに、こんな場所にごく小市民のボクがいていいのかな・・とは思わせない居心地の良さ。さすがホンモノ。
すっかり贅沢な酔いにくつろいでいるとバーの入り口に新たなお客さん。女性お二人様。日本語が聞こえてまいりました。
「なんかちょっと・・」
「やめとこうか・・」
ちらっとバーの中を覗いてUターンしてすぐお帰り。ま、賢明な判断だと思いマス。
このヘミングウェイ・バー、パリ・リッツというイメージからするとカナリ気軽に入ってこれそうな明るい雰囲気。入り口に扉もなく開放的デス。でも・・。お嬢様たち、コチラ側には入れませんよネ。
というのも、彼女たちのいでたちはダウンにジーンズ。そもそも夜のリッツでその姿は・・ねえ。
いくら店の雰囲気はカジュアルでも、ここにいるお客さんの姿はやっぱり“リッツのバー”。それなりの装いの紳士淑女がいらっしゃってマス。彼女たちにとって一番なじみのある顔であろう僕たちにしてもジャケット、ネクタイ着用ですからネ。
その場所にふさわしい服装というのは見た目だけではなく、気持ちもそこにふさわしい気分にしてくれます。そして、その気分でこそ楽しめる場所があるんです。このリッツのバーのように。
帰っていかれたお嬢様たち、次はおめかししてトライしてみましょうネ。居心地よくて楽しいですよ、コチラ側は!
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