チップの話 6 チップでグローバル!

 チップの握手は何かと便利ですが、なんとなく“袖の下”みたいな雰囲気ありますよネ。ちょっとイケナイことしてる?みたいな。

 そもそもチップ自体は別に悪いことではないはず。ならば堂々と渡せば・・とはいかないのがチップといえど“お金”であることのややこしいトコロ。


 チップを使うということは、いわば“魚心あれば水心”。やましいことはないにしろおおっぴらにするのもちょっと考えモノ。それに、人前での現金のやりとりはあまりお上品ではないというのがコチラの皆様のお考え。


 なので、もし公の場所で財布から現金を出してチップを手渡そうとなどしたら、相手はたいがいドン引き。それまでどんなに友好的な雰囲気であってもすべて水の泡、まあ、そこでジ・エンド。

 チップは袖の下のようでもあり、感謝の気持ちでもあり・・でも、キャッシュ。なかなか微妙なスパイラル。


 ここで素朴な疑問がわいてきます。そもそもチップの習慣って何のためにあるの?少なくともお礼の気持ちは“ありがとう”でいいじゃない。そう思いますよネ。


 でも人の気持ちは見えないもの、言葉だけで伝わるとは限りません。まして言語が違ってはなおさら。そこで、それをチップという少額のお金で補っていると考えるとちょっとスッキリ。


 例えば、パリのカフェで一休み。


 パリのウェイターさんは観光客に慣れているので愛想は悪くありませんが、まあ、特別愛嬌があるわけでもありません。

 でも、会計のときお釣りのコイン程度をチップにするだけで少し彼らの顔がほころび、一瞬、“素”の彼らと心が通い合ったような気がします。


 誰でも“ありがとう”の言葉とともにチップというキャッシュをもらうのは嬉しいモノ、いただいた方は自然に笑顔になります。また、渡した側も相手の笑顔をみると少しハッピーな気持ちになれますよネ。


 ほんの少しのお金で、どちらも笑顔になり互いの気持ちが触れ合う心地よさ。この辺りがチップのベーシックな部分のような気がします。まあ、多種多様な人間がいるなかでギスギスした関係にならないための潤滑油のようなもの、と考えればいいのではないでしょうか。


 ですから、郷に入れば郷に従え。あまり考えすぎずにチップは軽いハグ程度のコミュニケーションとしてさらっと粋にこなしましょう。


 そして、チップを粋に使いこなすことはグローバルなオトナへの入口。


 有名な観光地や大都市には世界中から人が集まります。迎える側も自然と訪れる人を値踏み。国外にいることに慣れている人、経験が浅そうな人そして海外デビュー組まで、その所作・雰囲気で何となくわかるもの。

 受けられる扱いやサービスも、それに見合ったものということになるのは自然の成り行き。彼ら、そういう“目”は肥えてますからネ。


 そしてそれは、経験者に厚く初心者に薄くということ。え、逆じゃないの?と感じるかもしれませんが商売ですからね、現実はシビア。


 であれば、粋なチップの使い方をして“コイツなかなかやるじゃん”と見られた方が受けるサービスの質は上がろうというもの。


 もちろんチップの使い方だけで即グローバル組とはなりません。でも、そのキャリアにこれだけは欠かせないという要素がいくつかあるとしたら、その中に必ずランクインする大事なアイテムであることは確かデス。


 さあ、アナタもチップを使いこなしてグローバルな世界へ!

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