概要
「だけどそんなの、何の役に立つっていうんだよ……」
桜庭灰慈は花咲師としての能力以外、顔も勉強も運動もすべて平均レベルの高校生。花咲師として名を馳せた祖父に憧れつつも、なんとなく今の日常が続いていくものだと思っていた。……一匹狼の女子生徒・水川雪乃とクラス委員をやるようになるまでは。
等身大の青春×和ファンタジー。
▼長編版(連載中)
https://kakuyomu.jp/works/16817330648953296456
▼番外編『花咲か灰慈〜小噺集〜』
https://kakuyomu.jp/works/1
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- ★★★ Excellent!!!花は、人と人を繋ぐ物である。
人間誰しも経験した事があるでしょう。それは葬式。
無論、自分にも経験があり、最も衝撃を受けたのが祖父の死ですね。あれ程大泣きした事は他にないでしょうか……。
もっと話したかった。もっとそばにいればよかった。こういった事は誰しもある事でしょう。
この御伽噺師の登場人物、水川さんもまたそんな人物でした。そんな彼女に灰慈少年がしてやれるのは、遺骨の灰を花に変えるという『花葬り』。
それが行われて、これで十分なんだと感じました。花は人と人を繋ぐ為の物、この世あの世なんて関係ない。水川さんはやっと報われたと感じるのに、そう難しく考える必要なんてなかったです。
彼女にはあの人の為に強く生きてほし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!命散り、花が咲く。
冠婚葬祭、人生の節目を飾る行事には、往々にして花が捧げられます。
時に、二つの人生を交える夫婦を祝うために。
時に、一つの人生を終えた故人を送り出すために。
古来より、土葬されたと思しき遺骨の周りには、大量の花が添えられていたと言います。
遺体の保存や処理にとって種々有利な科学的要因を見出すことはできますが、それが本質だとは思えないくらいに、人と花の繋がりは深いものです。
つまり、それは科学的合理性に裏打ちされた行為では無く、文化的に装飾された行為でもなく、むしろ人間が持つ原初的な――感情の根っこから湧き出す――衝動に基づく行為なのではないか。
死や出会い、門出といったイベ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!"花葬り"は、言葉を絶たれた死者の、汲めども尽きぬ想いを咲かせる――
なんの変哲もないただの高校生がよくライトノベルでは活躍しているような印象が持たれがちだし、実際そう供述している主人公は少なくなさそうだが、この桜庭灰慈少年は決してそういうことではなく、花咲かじいさんを祖先とする第15代花咲師で、なんと人間国宝だそうだ。
では花咲師はなにができるのか。
昔話を紐解けば推測もたやすいが、灰を花に変える能力を持つ。
ではそれを用いてなにをするのか。
彼らのもっとも大きな仕事は"花葬(はなはぶ)り”。
火葬されて残った遺灰を美しい花に変えるのだ。
だがその花は常に葬儀にふさわしく、適切な美しさで咲くわけではない。
弔いの気持ちを持たず、死を冒涜する人間関係では…続きを読む - ★★★ Excellent!!!命に花を咲かせましょう
様々なもの――役目を終えた炭や、皆に見守れながら最後の姿を見せ終わった命――が燃え尽きた後に残る「灰」。それを文字通り最後の「はなむけ」として可憐な花に変えるという、御伽噺の頃から続く不思議な伝統技能「花咲師」。
でも、その後を継ぐこととなった桃色の髪の少年は、自身の目標を見いだせず、ただその日を暮らす事のみを追いかけ続けていた。
そんな彼が出会ったのは、やたら気が強くて棘がある、でもどこか見捨てることが出来ない雰囲気を醸し出す1人の少女。
やがて、その出会いが、幾つもの後悔、「花咲師」と言う重荷、そして美しき花々へと続く事となり……。
「命」、それもその終わりと言う、ともすれば慎重に扱う…続きを読む