御伽術師・花咲か灰慈〈短編版〉

乙島紅

序章 今も今も、あるところに




 この国の人なら誰もが知っている、日本昔ばなし『花さかじいさん』。



 心優しいおじいさんに拾われた犬が、大切に育ててもらったことに恩返しをする物語。犬は隣の強欲なおじいさんに殺されてしまうけれど、最終的には灰となって宙を舞い、お殿様の前で美しい花を咲かせる。心優しいおじいさんは"花咲かじい"と賞賛され、褒美ほうびをもらってめでたしめでたし。





——実はこれ、僕のご先祖様らしい。




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