命に花を咲かせましょう

様々なもの――役目を終えた炭や、皆に見守れながら最後の姿を見せ終わった命――が燃え尽きた後に残る「灰」。それを文字通り最後の「はなむけ」として可憐な花に変えるという、御伽噺の頃から続く不思議な伝統技能「花咲師」。
でも、その後を継ぐこととなった桃色の髪の少年は、自身の目標を見いだせず、ただその日を暮らす事のみを追いかけ続けていた。
そんな彼が出会ったのは、やたら気が強くて棘がある、でもどこか見捨てることが出来ない雰囲気を醸し出す1人の少女。
やがて、その出会いが、幾つもの後悔、「花咲師」と言う重荷、そして美しき花々へと続く事となり……。

「命」、それもその終わりと言う、ともすれば慎重に扱う事も強いられるであろうテーマを、花咲かじいさんの持っていた不思議な力のように、切なくも美しく、そして丁寧に描いた作品。ですが、1つの美しき花が咲くためには、幾多もの出来事、幾多もの辛さを乗り越えなければなりません。
懸命に生き、何かを残すことが出来た命のために舞う、奇跡の力。
今、この世界を生き、この作品を出会うことが出来た自分たちもまた、彼らから得る事が出来る何かがあるのかもしれません。

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