第12話 魔王、眷属を得る7
「テコ入れキターーーーーー!!!!」
「そうだよ!これだよ!これなんだよ!!俺がそして世界が望んだ展開は!」
苦節転生7日目にしてついに!転生して良かった!心から!今心からそう思える!
ガッツポーズの勢いでザンテ城まで破壊してしまったが所詮些末なことだ。
「あれか?やっぱり聖杯が擬人化して?!」
聖杯に確認すると何も変化はなく昨晩と同じように鎮座していた。
当然である。
「あれ?どこ行った?美少女」
聖杯を見ている隙に美少女が消えた。
・・・いや、いたよね。妄想じゃないよね?
流石にそこまではキてないと思うんだけど。
正直自信は無い。
「ん?でもさっきの美少女何かおかしかったような」
確かファンシーな帽子に、よく似たデザインのワンピースを着ていたと思うんだが、どうにも縮尺が変だった気がする。
ここまでディティールがはっきりしてるのに全部妄想だったとしたら立ち直れないかもしれない。
思わず絶叫したせいで隠れているだけだと思いたい。
「あー、うむ。驚かせてしまったようだな。拝謁を許そう。姿を見せるが良い」
何とか威儀を保ちながら誰もいないように見える森に呼びかけてみる。
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、
、
、
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沈黙。
あ、そうか。
うん、ついにか。
早かったな。
いや俺にしては持った方なのかもしれない。
いよいよ現実と妄想の区別がつかなくなったか・・・
前世でもここまでは無かったと思う。
どうせ妄想ならもっとはっきり見えてくれればいいのに。
妄想美少女と幸福そうにキャッキャウフフしてる自分を思い浮かべながら遠い目をしていると。
木陰からひょっこりと顔を出す者がいた。
それはついさっき寝ぼけ眼で見た美少女・・・というか、
「美少女・・・フィギュア?」
身長15㎝も無いだろうか。
縮尺がおかしく感じるわけだ。
予想外のサイズに思わずまじまじと見つめてしまうが、向こうもおどおどしながら見つめ返している。
「え~と・・・」
「・・・・・・!」
そのまま見つめ合ってる訳にも行かず、お互いに声を発そうとするものの声が被ってまた見つめ合う。
なんだこのもじもじ空気。
大体まともに女子と話したことないのに、フィギュアとはもっと無いけど、一対一で対話しろと言う方が無理という物だ。
最初はグループ交際?とかいうのから始めたかった。
グループと言えばこの娘一人だけなんだろうか?
仲間とかいるんじゃ・・・
そう思った矢先。
周り中の木や石、草の陰から数十匹?人?の同じ生き物達が一斉に顔を出した。
「ふぁっ!?!?」
思わず仰け反る俺に彼らは一斉に・・・
フィギュアサイズ美少女を先頭にしながら両手をついてこう言った。
「まおうサマ!!どうかわたしたちをケンゾクにしてください!!!!」
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、
、
、
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「こちらこそ・・・、よろしく・・・、お願いします」
展開に追い付かない頭は、消え入りそうな声で承諾の返事をするのが精一杯だった。
第三章 魔王、帝国を興す に続く、
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