第2話 魔王、水を飲めない2
とにかく水だ。今の魔王の体がただの人間レベルの強さとは思わないが、この喉の渇きからしてもずっと飲まずにコンディションを維持できるとは思えない。
とりあえず試したのは泉に直接口をつけるというものだが、完全に駄目。
口つけた時点で水が腐る。
ならば滝の流れに直接と顔を突っ込んでみてもやはり同じだった。唇や肌に触れた時点で腐ってしまうから変わりない。
しかし収穫はあった。
偶然口の奥に飛び込んだ水は腐らなかったのだ。
さすがに舌に触れても駄目だったら完全に詰んでた。
とはいえそれだけで渇きを癒せる筈もなく、更なる工夫が必要だった。
肌に触れずに直接口の中に注げばいいわけだからと思いついたのはストローだ。語源の通りに枯れ茎を見つければと探し出して、キーアイテムを見つけたかの如く手に取れば、はい腐りました。そりゃ枯れてんだしな。普通の茎より早いぐらいだわ。ていうか立ってるだけで下生えの草まで枯れて腐ってる。
・・・・・・・・・・・・・・・いや本気でどうするよ?
何か汲むものがあればいいんだが・・・人工物が有りそうな場所ではないし。
誰かに掬って飲ませてもらうとか・・・誰に?
そこでハッと気づく
とりあえず周辺を飛んで探してみるか・・・
と思ったがいない、何にもいない、吃驚するほど動物がいない。鳥すらいないぞ。
かなり遠方に飛んで行くのは見えたし、動物の巣穴も見つかるからいない筈はないのだが、まるで直前に逃げられているようだ。
そんな疑問にまたステータスのイメージが浮かんだ
『魔王の威厳』
その威厳は周辺の弱者に恐慌を付与する
魔王に侍ることができるのは真に忠誠を誓った者だけである
凶悪なる軍団を編成せよ!
それか・・・近付いただけで動物も怯えて逃げ出してるのか・・・
屍体探しも望み薄・・・ これはいよいよ最終手段か。
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