第13話 魔王、生贄を探す5(生贄の祭壇)
魔法の物理的
まず
「
目標にした薪から小火球、といっても薪どころか周辺の木まで巻き込み、小市民の家一つ分くらいの火球が現れ範囲内の可燃物を全て焼き尽くした。
文字通り消し炭も残さぬレベルの火力に種火の確保などまるで覚束ない。
「うん・・・まあ、これは想定内。大丈夫。分かってた」
目算を誤って指先を焦がしかけた以外は。
「本番はこれからだからな」
崖際の本番用の祭壇に目を向ける。
さて計画をもう一度おさらいしよう。
今まで試してみたように俺の魔法はとかくオーバースペックが度を越しており、直接火をつけるということはできない。
ならば直接炎系の魔法を使わず、他の魔法の影響で発火させることは出来ないかという実験だ。
まず崖際に目標となる立木を見つけ、その周辺に薪を配置、その周りに団栗、さらに外側に石を積み上げた壁をぐるりと囲む。
このレイアウトで中の立木に電撃を食らわし、電撃が石垣と崖で遮断され、立木が燃え尽きてしまった後、空中に放電した弱った電流が周辺の薪を発火させられるのではという計画だ。
原始人も雷で発火した火を発見し、火を扱えるようになったという。魔王の雷によって焚火生活を始めようではないか。
石垣を作るのは
「キャンプファイアーの準備みたいだな」
少しわくわくする。
キャンプファイアーを囲んで踊るダンスの時も、女子に蛇蝎のごとく嫌われていた俺は手をつなぎたくないと拒否られていたが、それでも女子の手に一瞬触れたこともあったから、相対的に言ってそれほど悪い思い出ではない。
さぁ実験だ。
「
祭壇内の立木に雷の力を解放する。
雷撃の力が放たれた瞬間に立木は黒焦げになって崩れ去るが、石垣の中に閉じ込められた電流は周辺の薪に余ったエネルギーをぶつけ一斉に燃え上がる。
「っしゃー!!おら!ついにゲットだ・・・」
思わず飛び出すガッツポーズ。
だが・・・
成る程、空中に放たれる雷撃は確かに石垣である程度閉じ込めることは出来たのだが、木という物には必ず根っこという物が生えており、それは地中で他の木と複雑に絡み合っているものだ。
つまり電流は地中を伝わり・・・周辺の木をも一斉に燃え上がらせた。
正面からカメラで俺を捉えたら、ガッツポーズの俺の背景に爆発炎上イフェクトがかかったように見えたと思う。
「ひぃぃぃ!!?」
悲鳴なのか状況説明なのか分からない声を上げパニックを起こす俺。
実際問題森林火災は非常にまずい。
現状俺の食料は全てこの森から得ている以上死活問題になる。
何としても消火しなければ。
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