第14話 魔王、生贄を探す6
ようやく火事を鎮めた俺は、へとへとに疲れ切った煤だらけで真っ黒な状態でうっかり倒れた丸木の上に腰かけようとしたが、丸木がゴシャッと腐り潰れた為、思わず体育座りの体勢になる。
もはや座り直す気力もない。
辺り一面は滅茶苦茶になった訳で当然団栗も炭化してしまった。
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いやもう何て言いますかね・・・
異世界じゃないですか・・・
無双展開かなって・・・
ハーレムくらい造れちゃうかなって・・・
それが蓋を開けてみればね・・・
団栗すら食えないってねww・・・
栗鼠以下ですかね・・・
栗鼠以下系魔王ってね・・・
新しいっすかねww・・・
スライムとかゴブリンから始めて世界取っちゃう人もいるって聞きますけどね・・・
結局前世で
うん・・・
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泣こうかな・・・
泣いちゃおうかなってね・・・
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今の煤だらけの状態で泣いたら黒地に青緑のラインが入って、猪口才な健闘を見せる勇者達に絶望に淵に叩き落とす最終形態発現みたいな絵面になるな・・・
そんな幻をふと思う。
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そうだ俺はまだ人間一匹も滅ぼしていない。
このままで本当にいいのか?
熱くなる目頭を抑えつけながらも真逆のモチベーションがふつふつと込み上げてくる。
「例え石に噛り付いても、草の根を分けても滅ぼしてくれようではないか!」
石に噛り付いて、草の根を分けるスキルをここ数日でどれだけ鍛え上げたことだろうか。間違いなく歴代魔王最強だという確信がある。
「人間供よ。例え貴様らが逃げ隠れしようと必ず見つけ出してくれるわ!その時こそ我が真の最終形態を見せつけてくれよう!!」
それは人恋しさのあまり感涙しているのではないかという気もしないではなかったが。
ともあれこの世界で生き抜く覚悟は今はっきりと固まったのだった。
第二章 魔王、眷属を得る に続く、
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