第6話 魔王、眷属を得る1
地上の更なる異変は例えば大岩の隙間や、大樹の洞、地割れの奥などから始まっていた。
まるで水が滲み出すようにそんな空間から現れた半透明な不定形生物、いわゆるスライムという
そこかしこから滲み出たスライム達は地面に溢れる虫達を襲い、その粘液を分泌する体でで包み溶かしていく。
うぞうぞと動き回る半透明のゲル状のスライムと、それに溶かされゆく大量の虫達という凄惨極まりない光景に思わず息を呑む。
「こんな
『魔王の威厳』の効果で低位の
そして俺の魔力についに畏怖を覚えて自ら配下に成りに来たとか。
何にせよこの世界で初めて遭遇する低位の
気色悪いことこの上ない絵面ではあるが、それでも足が多すぎるよりは全く無い方がまだましに思える。
「うむ、よくぞ我が元に馳せ参じたものよ。我が覇道が為、粉骨砕身の努力を期待するぞ」
馳せるどころか這うことしか出来ないし、粉にする骨もなければ砕く身もなさそうだが・・・
期待したようなリアクションは無く、うぞうぞと虫を追うだけで何の反応もしめさない。
「・・・・・・?」
もしかして・・・本能で捕食してるだけで知性とかないんじゃないか?こいつら。だとしたら、
そうこうしてる間にも増え続けたスライム達は次々に虫達を襲い勢力を増して行く。
あげくの果てに、近くまで寄ってきた子牛程に迄成長したスライムが不遜にも俺に襲い掛かってきたので慌てて身を躱す。
ダメージを受けるというより、百足やら草鞋虫やらが溶け込んだスライムに触られたくないという嫌悪感によるものだったが、どうやら従う意思はないようだということはよく分かった。
というより意思そのものがあるのかどうか。
「所詮単細胞生物か。仕方あるまい。この我が直々に手を下してやろう」
直接触れて腐らせてくれようと、平手打ちのような形でスライムに文字通り手を下した。
タップン
「?!・・・腐らない?」
まるで乳房でも叩いたような奇妙な触感、実際に触ったことは無かったのでこんなじゃないかと夢想していた空想上の触感ではあるがそれを感じた。
・・・待てよ。もしかして今の俺って胸を揉んだり出来なくないか?前世から引き続き触れないままだというのか!!
全身を電撃的に貫く戦慄的な事実に打ち震えている俺に容赦なくスライム達は襲い掛かってきた。
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