第2話 魔王、軍団を執る2
最初に俺がこの谷に着地した時、既に発動していた『魔王の威厳』の効果により、小美少女たちは大混乱に陥っていたらしい。
突然何か判らない凶悪な存在がやって来るということだけが、直接本能に訴えるように理解されてしまうのだから当然とも言える。
大概の生物は逃げ出してしまう筈だが、彼女たちにはこの谷を抜け出す術が無かったのだろう。
空を飛べる俺には気付かないことだったが、この谷は絶壁に挟まれ、入り口になる川下は崩れた岩で塞がれているのだそうだ。
狐や狸の類なら乗り越えることもできようが、彼女たちには無理なことだ。
何よりひ弱な種族である彼女たちにはこの谷は外界から遮断された安全地帯なのだろう。
結果、彼女たちは他に選びようもなく、自らの
そうは言っても、彼女たちもずっと身を寄せ合い怯えているだけとはいかなかった。
そこで一族の中でも特に勇気ある好奇心旺盛な一人、本日転生七日目にして初めて俺と顔を突き合わせることになった彼女が、若者たちを率いてこっそりと俺を観察し始め。
そうしてついに、俺の事を魔王として崇める決心がついたという訳だ。
て言うかずっと見られてたんだな、何かマズい事でもしてなかっただろうか。
最初からマオウ様呼びなのは俺が自分で魔王、魔王言ってたからなんだろうけど、改めて人から言われると中二病を発症した時に、自分ノートに付けていた
いや!
ようやっと手に入れた眷族なのだ。むしろ彼女らの為にも自信を持つべきだろう!
あの時にノートに書いてあったスペックより今の方が確実に強いはずだ。
『
そういや精霊的な物ってこの世界にもあるのかな?
前世で言い出したらツッコミどころか完全に無視されそうな疑問だが魔法が現実にある世界だし。
「あの・・・マオウ様・・・?」
「ん?・・・あー、うむ。ところで、君た・・いやお主らはどういう種族なの?・・だ」
未だ慣れていない、それ以前に話す相手がそもそもいなかったのだが、魔王語?で会話を試みる。
「シュゾク?」
「いやほら、人間とか精霊とか。」
もしかしてこの谷に引きこもり過ぎて種族の概念がないんじゃなかろうか。
「知識の多い、年長者の者はいないのか?」
そう言うと、一人の小老人が進み出て俺の前に平伏する。
「長老のマシュと申します。私に分かることでしたらお答えいたします」
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