第4話 魔王、階を重ねる4
目立った石達をこれもまた石を組んで作った倉庫にしまうことにする。
と言っても石垣を組むように壁を作り隙間を泥で埋めたもので、底板、蓋にもまた薄く平たい石を使っている、倉庫というには小さすぎるものだ。
今のところ中に入っているのは今入れた石達、後はいつか食べれるようになった時の為に集めた団栗くらいしかないので、特に手狭にはならない。
・・・・・・
男子小学生の宝物箱みたいっていうな。
いやむしろ男子小学生こそ魔王の初期段階といえるかもしれない。
あいつらこっちが弱いと見たらフシンシャ発見とか言って集団で石を投げてくるような極悪な連中だからな。
そんな奴らでもこう見事に石を投げ砕くことはできまい。と先程怒りに任せて砕いた石を見ると、一つの欠片が目に付いた。薄く割れたその石は上手くすればナイフのように使えそうだ。
「石包丁というやつか」
切れ味はとてもではないが懐に入れておくことにする。
食糧集めに少しは役立つだろう。
魔王の支配物 『魔王の聖杯』・・・・・・石
石包丁 ・・・・・・尖った石 New!!
今日の食糧集めは少し目先を変えて、針葉樹林の中を探索してみよう。
針葉樹林でやたらに目に付くのはいわゆる松ぼっくりなのだが・・・、試しに齧ってみるがもっさもっさで食える食えないという次元ではないな、これ。
煮ても焼いてもどうにもならないとはこのことか。
傷ついた幹から滲み出る樹液、これは蜂蜜に似ているのでかなり期待していたが、石包丁でこそいで食べてみると甘味はあるが木臭いというか、薬品臭い独特の匂いが鼻につく。食えないことはないので良しとすべきだろう。
ある程度予測していたが背の高い針葉樹が多い林は下生えの植物も少なくて食糧集めにはあまり向いていないようだ。浮遊の魔法で樹冠帯を調べてみてもやはり食べられない松ぼっくりくらいしかない。
といっても体力に余裕のある内に見極めのつく食糧を開拓しようという試みなのでそれ自体は仕方ない。
これから先冬越しの事とかを考えると・・・冬?冬越しって言った?今?
冬までこんな感じ?それはさすがにマズいだろ、マジで。
マズいのは確かだが、現実的に考えなければならない問題だ。
最悪の場合冬の食糧確保が出来ないなら一旦南半球?あるいは北半球かもしれない方にでも飛んで行って、春夏の陽気の地域に拠点を作り直すということも視野に入れるべきだろうか。
「渡り鳥みたいだな・・・食糧のある場所を求めて地球を行ったり来たりって」
思わず空を見上げて呟くと、その空が異様にどす黒い色合いの雲を沸き立たせて、こちらへ向かって来る不気味な光景が広がっているのに初めて気がついた。
「な・・・何だあれ」
今までに見たことがないような光景に息を呑んだ俺は空を観察しながら浮遊の魔法を解いて一旦着地し、地上で起こっていた更なる以上に直面することになった。
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