第9話 魔王、生贄を探す1
探索の後ではすっかり暗くなった拠点だが、闇視の能力があればさほど不自由はない。
泥濘に手をかざし
、
、
、
・・・・・・・・・。
いくつかの指示を試してみるが、思いの外役に立たないなこれ。材料が泥だけで出来てるだけはある。
まず細かい作業は出来ない。手の先を指の形に成型してみても崩れてしまうし、自立的な行動は何もとれない。
あわよくば食料を探してこさせようと考えていたが何が食べれそうかの判断が出来なければ無理か。
人型でなくともある程度自由の形には成型出来るものの、泥がある程度乾けば活動停止する。
とりあえず薪でも集めさせてみるか。いずれ使うときもあるだろう。
何体かの
明日からの食料確保に備えて寝るとするか。
、
、
、
、
、
、
さて・・・食料なのだが・・・
よく考えたら何をどう食べればいいんだろう。
大概の動物のは『魔王の威厳』の効果で逃げ出してしまっているから狩れないし、となると逃げださないような魔獣の類を探すしかないか?
『魔族の比翼』の高速飛行で飛び回っても中々見つかるものではない。辺りを探索し続けていると、丁度魔法の試し打ちをした山の周辺でとぐろを捲いている一匹のドラゴンらしき生物を見つけた。
頭のいい生き物は食べちゃダメ論に与するわけでもないが、コミュニケーションが取れるか試してみよう。上手くすれば部下に出来るかもしれない。
ドラゴンの前に立って『汎喋』の魔法で話しかけてみる
「やぁ君!今時間あるかな?君の為になるすごくいいお話があるんだよ。ちょっとお話し出来ないかな?」
、
、
、
いかん、ぼっち生活が長すぎて対人?スキルが無さ過ぎる。キャッチセールスのマニュアルみたいになった。
まさかキャッチお断りを体現しようとしたとも思えないが、いきり立って噛み殺しにかかって来たので、慌てて空中へ飛びすさる。
「ちっ、でかいだけで対話は無理か」
自分のコミュスキルの方は捨て置いて、魔法の集中を始める。
「
追いすがるドラゴンの巨体が一瞬にして冷気で包まれ凍りつくと、そのままの勢いで俺に突っ込んできたので、体をひねってかわす。
「よしっ!・・・っておい」
体をかわされたドラゴンの氷結死体はそのままの勢いで地面に激突し、ダイヤモンドダストのような氷片に砕け散った。
挽肉よりも細かい氷片となったドラゴンが辺りに漂うなか、再び自分の魔力に戦慄する。
「最低位階の魔法でもこれかよ・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます