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そんなわけで、第十八話「偵察」です。
今回はちょっとした箸休めで、羅と叡、両国の解説回です。
単純な話、羅の国は日本がモデルとなっており、叡の国はモンゴル帝国だと思っていただいて結構です。
要するに羅の国から見た「元寇」ということです。
別に『天幕のジャードゥーガル』に影響されたわけではなく、この構図はアニメ放映以前から決まっていました。
虎狼関なんかは、『キングダム』に出てくる、秦の「函谷関(かんこくかん)」のイメージですね。
虎狼関は、一見すると石を積み上げた城壁のようですが、石垣は表面だけで、内部は木材や網を骨格として、土を突き固めた巨大土塁というのが正体です。
これを攻めるには、城壁と同じ高さの巨大な櫓を組み、それを壁に密着させて櫓上の小屋に隠れていた兵を乗りこませます。
巨大な櫓は、二十基以上も用意され、一斉に接近するわけですが、とんでもない重量なので、大量の牛馬に加え、それぞれ数千人の兵士が引っ張ります。
当然、虎狼関側からは攻撃し放題ですから、接近するだけでも莫大な犠牲が出ます。
櫓は木製なので火に弱く、火矢を防ぐために動物の生皮を張って防火性を高めています。
防衛側も油を詰めた素焼きの球を投げつけ、火矢を射かけて燃やそうとします。
このほか、虎狼関上の通路には投石器が配備されているので、巨石が当たると柱が折れて櫓が崩壊し、乗り込んだ数十名の兵士が墜落死することになります。
とにかく、櫓の大半は燃えたり破壊されたりするので、ここでも大変な犠牲が出ます。
運よく乗り移れたとしても、そこには羅の国の守備兵が待ち構えていますから、矢の集中攻撃を浴びて、大半が死ぬこととなります。
当然、こうした無謀な攻撃に投入されるのは、叡に敗れた国々の将兵ですから、遊牧民の指揮官にとっては痛くも痒くもありません。
これらの犠牲を乗り越えなければ攻城戦は成功しませんので、要塞を攻めるには、最低でも守備側の三倍の兵が必要と言われています。
羅の国の最大動員数は、約二万五千人規模なので、叡としては八万から十万人の大軍を揃えるのが常識です。
それにも関わらず、シルヴィアの見るところ、叡軍は多く見積もったとしても六万人ほどで、ちょっと兵力が不足しているように思えます。虎狼関を甘く見ているのか、あるいは何か秘密の作戦があるのでしょうか? いずれにしろ、無策というのはあり得ませんが、その正体はやがて明らかになります。
戦いの時は迫っています。
次回はシルヴィアの偵察をもとにした作戦会議の予定です。どうかをお楽しみに!