https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/2912051596866826545
そんなわけで、第三十五話「食糧」です。
ゆっくりペースで第四階層です。
私はウィザードリーのファンなので、以前から迷宮探索の話をやりたいと思っていました。
『幻獣召喚士』シリーズで、ちょっとだけ迷宮を出したことがありますが、それはフェイク(偽物)の迷宮で、深さも三層までしかありませんでしたから、今回は書くのが楽しくてどうしても長くなりそうですw
読んでいる方は「いい加減に飽きた」のかもしれませんが、もうしばらくお付き合いください。
聖域の部屋には水(多分、地下水)が湧き出ていて、そこだけ煉瓦造りですが、あとは結構な深さで土が敷かれています。
植えられているのは食用となる山菜類、低い果樹類ばかりです。
本文でも出てくるようにウサギも棲んでいますが、過度に繁殖しないよう数が制限されている感じです。
恐らく樹木草木の手入れやウサギの管理、太陽石の交換(地上へ運んで太陽光を充足してくる作業も含む)はゴーレムが担っているのでしょう。
東北には「マタギ」と呼ばれる狩猟民がいます。狩猟をするのは雪に閉ざされる冬から春だけで、春~秋は普通に農業をやっている人たちです。
ユニが愛用していた「ナガサ」(出刃包丁のような形状をした鉈、山刀)も、彼らが使用する道具です。
もう十年以上前の話ですが、編集者をしていた私は、仕事でマタギの方々や、ナガサを製作している鍛冶屋さんを取材したことがあります。
今回の話で出てくるウサギの解体も、その時に見せてもらった経験を基にしています。
一番印象に残っているのは、毛皮を剥いだウサギが意外なほど筋肉質で、特にお尻がぷりんとして異様に艶めかしかったことです。
白くて小さな睾丸とピンク色のペニスがちゃんと付いていたのも印象的でしたw
ウサギの肉はよく「淡白で癖がなく、鶏肉のよう」だと言われますが、それは肉用の家畜として飼われている種類の話です。
野ウサギの肉はもっと赤みが強く、かなり癖があります。
普通は味噌と一緒に野菜と似て、味噌で濃い目の味をつけるので、あまり臭みは気になりません。
取材時には、それとは別に網焼きにしたウサギ肉を塩コショウでいただきましたが、鴨と羊を足して二で割ったような野趣あふれる(つまり臭い)味わいでした。
鍋にする時は、骨と一緒に叩いた肉団子にして入れると、とてもよい出汁が出て美味しいのだそうです。
もう亡くなられていますが、京都のお嬢さまとして生まれ育ち、地方劇団の女優として田舎に移り住んだ女性の自伝を制作したこともあります。
彼女の思い出話の中には、田舎生活でのカルチャーショックがさまざまに語られていましたが、冬になると魚や肉、野菜、雑貨などを扱う何でも屋店先には、冬になると普通にウサギが吊るされて売られていたそうです。
1970年代の話ですから、そう遠い昔ではありません。
その方は、真っ白な冬毛のウサギが可愛そうで、一度も買ったことがないと言っていましたが、恐らく勇気を出して買ったとしても、自分では捌けなかっただろうと思います。
そんなわけで、次回も第四層の続きです。
不死の魔物は、何を伝えようとしてきたのでしょうか? どうか次回をお楽しみに!