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そんなわけで、第二十六話「軍議」です。
東の大陸では、アマテラス信仰が広く普及しており、大神殿がその権威の象徴であることは前にも説明しました。
西の大神殿は羅の国にありますが、東の大神殿は南曹国にあります。
南曹は凌雲将軍の故国で、最近になって、ついに叡に滅ぼされてしまった大国です。
征服に当たっては、多くの都市が焼かれ、略奪の憂き目を見ましたが、叡は東の大神殿には手を出しませんでした。
信心深いという点では、東国人も西夏人も変わりなく、異教であっても神を尊重する考えを持っています。この辺は、多神教ならではの考え方ですね。
叡の支配民族である西夏人は、独自の神を信じていますが、それは穢れを嫌い、自然を重視した多神教で、基本のところではアマテラス信仰と大きな違いがありません。
ただ、主神はアマテラスではなく、エフ・ブルハンと呼ばれており、その他の神々の名もローカライズされ、独自の名前がつけられています。
経典がないことも共通していますが、神話は自分たちの民族に伝わっている伝承と混じり合って、かなり違ったものとなっています。
アマテラスを主神とする広域信仰が、一部の少数民族で独自に変節する傾向は、大陸各地で見られます。
これらはキリスト教のカトリック、プロテスタント、ロシア正教といった違いよりも差異があり、例えていえばキリスト教とイスラム教のような関係です。
日本人はこの世界の二大宗教を、まったくの別物として見がちですが、両者はアブラハムを祖とする一神教から出発していて、根は同じなんですよね。
ところで、釈放されたアルトゥですが、一時間も歩けば自軍に帰れます。
副官は殺され、指揮官は行方不明となり、部隊は大騒ぎとなっており、本隊からも高官が派遣されて調査に当たっていたところへ、本人が元気で帰ってきたのですから、とんでもないことになりました。
彼は即座に本隊へ連れていかれ、凌雲将軍と総監のオドゥの前で尋問を受けることになりますが、彼がもたらした情報は将軍の興味を惹きました。
アルトゥは小夜がそそのかしたような嘘を一切つかず、すべて正直に自分の身に起きたことを報告しました。
結果的にそれが功を奏したらしく、彼は罪を問われることなく現職に復帰しています。
そんなわけで、いよいよ次回は戦闘回。どうぞお楽しみに!