https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093090342831732そんなわけで第五話です。
読み始めて「あれ、前回の続きは?」と思った方、安心してください、ちゃんと最後の方に出てきますw
赤龍帝の推測は、シルヴィアによってマリウスに報告されました。
王国は仮想敵国である帝国の動きに神経を使っていましたから、西部戦線以外のあらゆる方面の情報を集めていました。
トルゴル国境もそのひとつですが、王国でもこの地域に対する関心は薄く、外務部に担当が一人いるだけでした。
この担当は、若いころに西海岸の都市国家群やトルゴル王国を回ったことがあり、トルゴルにも友人がいて、文通を続けていました。
彼の情報は主としてこの友人に頼っていましたが、かなり確度の高いものでした。
担当はこのルートから、最近トルゴル国境で帝国軍が謎めいた侵攻をしていることを知り報告をしていましたが、部内では無視されていたのです。
一方、情報部では、常時帝国軍の動員傾向を分析しており、一年ほど前からトルゴル国境への増派を掴んでいました。
ただ、もともとこの方面に向けられた兵力は微々たるものなのだったので、それが倍増したとしても問題視されませんでした。
お役所の縦割り行政、縄張り意識の弊害は王国でも変わりがなく、外務部と情報部は、これらの情報を共有していなかったのです。
もし、情報をすり合わせていれば、もう少し関心が高まっていたかもしれません。
それが今回、赤龍帝の「トルゴル国境で異変が起きたのではないか?」という示唆があり、初めて両部署の情報が統合されたのでした。
トルゴル東部の国境は、帝国最南部の巨大な原生林(通称「夜森」)につながる森林地帯です。
こんな無人の森林を占領しても、帝国には何のメリットもありません。
「帝国の目的はどこにあるのか?」
これを一番知りたがっているのはケルトニアですが、今後の話の展開で重要なポイントになってくると思われます。
さて、次回でエイナが王都に戻ってきます。
当然、ケルトニアの提案とからんでくるはず、どうかお楽しみに!