https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093086981488812そんなわけで第六話です。
王国の中央平野は、第一軍管区(白城市)のすべて+第二軍管区(黒城市)の南側四分の三、第三軍管区(赤城市)の北側半分に当たる、広大な地域にわたります。
気候が温暖なこと、水源が豊富で土地が肥えていることから、農業には好条件で、昔から開発が盛んでした。
じゃあ、全部が畑になっているかというと、そうでもありません。
人間が暮らすためには、煮炊きや暖房の燃料となる焚き木が必要ですし、家畜の餌となる草刈り場も欠かせません。
そのため、条件のよい土地は畑になっていますが、それ以外の丘陵地、川沿いなどには森や草原が残されています。
辺境伯の屋敷に隣接する森も丘の上にわざと残されたもので、中央を流れる川が渓谷を形成しているのも、そのためです。
これら森は人手が入り、間伐や除伐が行われ、灌木や枯れ枝、落ち葉は人間がすべて持ち去るので、非常にきれいで歩きやすくなっています。
もちろん、危険な肉食獣は駆逐されているので、小動物の楽園となっています。
セドリックが幼いころから遊び場としている、という説明がありますが、背景にはこんな事情があります。
今回の話に手紙が出てきますが、王国にも郵便制度は確立しています。
国が関与しているのは仕組みの方で、運営自体は民間に委託されています。
料金が比較的高めなのと、そもそも紙自体が高級品なので、手紙を利用するのは中流階級以上に限られています。
では、貧しい人々はどうしているかというと、主流は「言付け」で、これを担うのは行商人です。
辺境では、ユニのような召喚士に頼むこともあります。
言付けだと複雑な内容は伝えられないので、手紙にしたい場合は、行商人や召喚士に代筆・代読してもらうのですね。
さて、霧の谷でセドリックは何を体験したのでしょう? どうか次回もお楽しみに!