https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093087351688520そんなわけで第八話です。
二回にわたるセドリックの体験談は終わり、次回からはシルヴィアが家庭教師をしながら、霧谷屋敷に振りかかった謎を調べていく展開となります。
これまで「家庭教師」と呼ばれていた人物は、イレーネという三十代後半の独身女性です。
彼女は富裕な商人の末っ子として生まれました。
彼女には年の離れた四人の兄がいて、両親にとっては初めての女の子だったので、両親と兄たちから溺愛されて育ちました。
イレーネは幼いころから賢い子で、勉強が好きでした。
学校に通うようになると、たちまち学年の首席を取り、二度の飛び級を許されています。
この当時、女子の受ける教育は小学校までが大半で、高等小学校(中学校)やその上の高等学校にまで進む者は、ほんの一握りでした。
ましてや大学進学者となると非常に珍しく、シルヴィアが驚いたのも無理がありません。
白城市の私立大学はまさしく「学問の府」で、王国の最高学府とみなされています。
王都にも国立大学がありますが、こちらも総合大学ですが、軍事大学を併設しているのが特徴です。
イレーネは大学を優秀な成績で卒業し、その後は家業の経理部門を率いることになり、その発展に大きく貢献しました。
彼女は二十八歳で遅い結婚をし、翌年一児を授かりました。
幸せな家庭を築いていたイレーネですが、その三年後、不幸なことに夫と愛児を事故で一度に亡くすという悲劇に襲われます。
さて、次回はシルヴィアの家庭教師デビューですが、どうなることやら。どうかお楽しみに!