https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093088972620736そんなわけで第十七話です。
読者の方々は〝うんざり〟されているかもしれませんが、これでも話が進むよう、あちこちぶった切っています。
そうでないと、今回の内容で丸々二話、ついやしていたと思います。
さて、霧谷屋敷のメイドさんたちですが、全部で八人います。
六十代が一人、五十代が二人、四十代が四人、三十代(ミーナ)という内訳です。
全員が独身で、死別と離婚が三人ずつ、ミーナを含めた二人が未婚ですね。
伯爵の領地となっている村は田舎ですので、女の就職先がほとんどありません。
様々な事情で独り身になった女性が生きていくのは、非常に困難でした。
霧谷屋敷のメイド職は、そうした女性たちへの救済策となっています。
普通、貴族の屋敷に勤めるメイドや執事は、都会の口入屋を通して斡旋されます。
一般的な仕事能力に加えて、言葉遣いや行儀作法がしっかりしていないと務まりませんから、一種の専門職なのです。
霧谷屋敷では、見習いメイドを半年かけて先輩が教育しています。
メイドたちの給与は、都会で働く同じ職業の女性に比べ、二割ほど高い水準で、そう極端な高給ではありません。
しかし、それは都会であればの話であって、働き口のない村の女性にとっては、生まれてこの方見たこともない大金なのです。
住み込みですから家賃は不要で、食費もかかりません。
一応、ローテーションを組んで、週に一日休めるのですが、日帰りでは都会に遊びにいけません。
したがって、お金がどんどん溜まります。
高齢や病気などでメイド職を辞した女性を、村では〝お屋敷帰り〟と呼んでいます。
彼女たちは立派な家を建て、一生暮らしに不自由しない安楽な生活を送っています。
そうしたお屋敷帰りが出て、霧谷屋敷から求人があると、もの凄い競争率となります。
屋敷のメイドになれるのなら、今の旦那と離婚するという嫁とか、結婚しなくてもよいという娘たちが押し寄せるのです。
(まぁ、そうした女性は採用されませんけど)
さて、次回はようやく伯爵とイレーネの対面が実現しそうです。
伯爵の目論みは成功するのでしょうか? どうかお楽しみに!