斑鳩睡蓮

　ユイが越してきた村では、年に一度独自の神事があるという。主役となるのは、十〜十五歳の少年少女。彼らは弓や銃を携えて、夜の杜へと入り込む。 〈神狩〉と呼ばれるその神事。狙いは、そ…

現代を舞台にした和風ファンタジー。 狼族のソラは、相棒兼上司のユイと人間界で任務に当たっていた。 その任務とは、寄生霊魂という妖怪もどきを退治し、異界の王――天龍王の魂を取りも…

2014年11月1日に「終末なにしてますか？　忙しいですか？　救ってもらっていいですか？」第１巻が刊行され、今年で10周年を迎えた「終末なにしてますか？」シリーズ。その10周年記…

※この作品は続編となります。 　変えることのできない性質と結末を知りつつも、果てるまでの道は自由と手を繋ぎ直した志乃と芳親。改めて麗部直武の旅路の供をするも、直武の結末もまた近…

機構の不具合により長雨が続く都市。異国生まれの義足の科学者は、激しい湿気に苦しんでいた。 彼に手を差し伸べたのは人工生命体の『翡翠』。彼女の癒しの力と、奇妙なほどの甲斐甲斐しさに…

いちにいさんで、みんな並んだ。 次に落ちるのは私ですか、僕ですか、俺ですか、君ですか、あなたですか。 これはみんなみんな平等なのだ。 誰もに等しく、理不尽なのだ。

珊瑚でできた杖と角灯を持った明かり持ちは、月が満ちた夜に海底へ潜って消え、残された杖と角灯が届けられた砂浜で新生する。長らく続いてきた使命を全うするために。

　時は天正五年、所は近江国。 　今をときめく織田家に仕える武人、直刃は、近頃近江の各所で頻発する人食い虫の調査と撲滅を命じられる。古くより近江に根づく言霊使いの一族、波分家の名代…

【終(つい)の純火(すみか)】 　「異物」と呼ばれる奇怪な生命体により、人間が存亡の危機まで追い詰められた世界。人類はなりふり構わず、忘れ去られていた祓魔術(の皮を被った無茶苦…

二〇一七年七月二十七日──彼女が亡くなった。 亡くなった彼女は何を思って私に手紙を書いたのか。私は彼女と過ごした中学生時代を思い返す。 あの頃の私たちの精一杯の恋と、生涯忘れ得ぬ…

　百年前にこの国を救った聖魔女セラフィーナ。ヘクターは彼女に憧れていた。しかし自分がなれるのは、せいぜい宮廷魔道士くらい。だが、先輩であるユーフェミアはどうだろう？ 　ユーフェミ…

　自由奔放、豪放磊落。フィクションでわりと見るけれど、現実では意外と見ない人物である汐原志映浬。何故か彼女に気に入られた零時は、夏休み中であるにもかかわらず呼び出された。この暑い…

この世には死んだ人間の魂を宝石に変える宝石商が存在するらしい。 アンティーク調のトランクを片手に、妻を亡くした老人の元へ、我が子を亡くした母親の元へ、兄を亡くした妹の元へ。 様々…

　デビュタントを迎えたマリーに、新しい靴が与えられた。それは、マリーが一人前と認められた証だった。 　しかし、初めての舞踏会で、マリーは大恥をかくことになる。足を踏まれ、得意なダ…

帝国将軍であるアナスタシアは、今日も戦場を行く。敬愛する皇帝の夢のために、自分の理想のために。「戦場の愛人」と呼ばれていることすら、気にならない。アナスタシアは戦い続ける。

私からこの人を取り上げないで下さい。 人生も命も何もかも差し出すから、この人の為に戦って散るならそれでいいから、お願いします。 神様。 どうか神様。 奪って行かないで。

「誅戮のヘイトレッド」の続きのような、2巻目をイメージして書き始めたSSです。SSという長さを超えたので二巻ということにしました。 誅戮のヘイトレッドはこちら▶https://k…

ひょんなことから旅を共にするようになったアステリスとジラルダは、ある日空から少女が落ちてくる現場にでくわす。フェクタと名乗る彼女を家に帰すため、アステリスとジラルダは旅に出る--…

聖セラフィーナ魔法学院に通うユーフェミアは落ちこぼれだった。勉強の成績は良いものの、いつも魔法を暴走させてしまい、一度も成功させたことがない。 卒業を一年後に控えても成長しない自…

静かなる夜の国に暮らす純黒の少女・レトナは、清らかなる昼の国からやって来るも倒れていた純白の少女・ディリアを保護する。音が限られる夜の国にて、少女たちは初めて出会った異国の存在同…

　 「外は、危険なんですよ。害虫がいっぱいいるから」 訳のわからないまま、天才医学者の妹に監禁された透は、常軌を逸する感覚遮断と長期におよぶ拘束によって、廃人のようになってい…

ささやかで何でもない幸福をくれた、ちょっと特殊な本屋さんと、そのお客様の一幕。 KAC2023お題「本屋」の作品です。

天下が統一されて数年。 戦を知らず、無邪気に育った少女、天花。ある時亡くなった貴人の弔問へ向かった折、彼女は透き通るように白い少年、燦と出会う。彼の口から己が出生の秘密を聞かされ…

　大戦は終結し、既存の戦車や歩兵に代わって戦場を駆けた蟲騎兵とされる兵器群は廃棄が進められていた。しかしその唯一の例外であったのが、蟲騎兵を用いた競技、ビートルソウル。最強とされ…

極北の地に国土を構える北欧の小国、スコルト王国は隣国のレツィア共和国の侵攻を受ける。 学校の国防実習で国境付近の訓練施設を訪れていたユーリ・ヘルレヴィと五人の学生たちは、学生兵士…

自分の好きなものとか性癖について話して好きって言ってるだけの、路傍の石みたいな感じのエッセイです。

20XX─── 最新の技術を持ってして造られた聖都市アムネジア。それはこの世界で煌々と輝きを放つ星。誰もが安寧を手に出来る理想郷。壁に囲まれたその都市は、今日も虚像の上に息をする…

　花街の自警団に所属する志乃は、〈妖雛(ようすう)〉すなわち半人半妖。〈物の怪〉と称される異形の襲来を予測された花街にて、前兆たる成り損ないを始末していた志乃は、旅の最中な初老男…

※カクヨムWeb小説短編賞2022中間選考通過作品。 風流をこよなく愛する武芸者、榊清十郎は、自由に諸国を巡る風来坊である。 ある時夕立に降られ、雨宿りした桜の古木の下で、気…

・真面目なあらすじ 日ノ国に遺る神器の一つを密かに継承する須佐一族は、国家安寧のため祈祷を続けていた。 しかしある時、その力を欲した勢力の襲撃により、隠れ里は崩壊してしまう。 …

『科学万能』が謳われる時代、二十一世紀を生きる現役高校生、土御門護（つちみかどまもる）は非科学的として存在を否定される妖怪や怨霊に立ち向かう術を持つ、見習い陰陽師。 二年生への進…

孤独に悩む女子高生、藤原湊月。 祖母との思い出と謎の転校生を頼りに天界へと向かうこととなる。そこで見つけた、居場所や友達の存在。湊月の遂行するべき任務とは…… 湊月たちの天界での…

平日、私はレース会場へ向かう前に、必ずとあるベーカリーチェーンに訪れる。 月曜日の朝。とりわけ人々の絶望感を引き起こすその時間帯には、普段以上に瑣末な物事が気になるのであった。 …