これほど取り込まれた物語はどれほどあるだろうか……
気が付いたら時間を忘れて取りつかれたように読み終えていた。
まさに歪んだ愛と狂気の世界
ヤンデレという簡単な言葉では表せない、もはや芸術の領域とも思える。
戦闘シーンはすさまじいの一言。
グロテスクなはずなのに鮮明に描かれてなぜか「美しく」感じてしまうほど、これは本当にすごすぎる。
時間を忘れ読み進めていくごとにどんどん底なし沼のように狂気と嫉妬の世界へ引きずり込まれていく。
この物語の最後に待ち受ける結末がなんなのか、全く想像すらできない。
さあ、あなたも一緒にこの世界の結末を見届けに行きませんか?
これほど唖然とした作品はなかったかもしれません。
はじめこそヤンデレ妹の狂気に巻き込まれた不運な男の監禁生活がずっと描かれると思っていました。そして男がいかにその狂気から逃れ、自由を手に入れるのかというある種のサバイバルストーリーだと思っていました。
でも、そんなもんじゃありませんでした。我々の想像を遥かに凌駕する驚愕の作品です。
ネタバレになると悪いので詳しくは語れませんが、ホラーやスプラッター的な作品がお好きな方は絶対に読んでおくべき作品だと思います。好みが分かれるかもしれませんが、自分は大好きなタイプでした。
ハマる人はとことんハマると思います。まずは怖いもの見たさで読んでみてください。いつのまにか最新話まで読み進めてしまっていると思います。
それは作者様の表現力と絶対に読者を離さない確実なプロットがあるからだと思います。ハラハラもしますし、学びも多くあった作品です。
とくに主人公の恐怖心の描写。自分の鼓動も自然と激しく脈打つほど、背筋が凍るほどの巧みな描写が確かにそこにあります。
これでもかというほどリアルな世界が目の前に広がります。
みなさんもぜひ、この異色を放つ、でもどこか魅力を感じざるを得ないこの作品を読んでみてください。
わたしには絶対にこのような作品は書けません。だからこそ惹かれます。
――それではSAN値チェックのお時間です。ダイスを振ってください――
胸糞耐性のない人は、焼き付く壮絶な情景描写に悶え苦しみ、そうでなくとも、言葉および語彙力を失うことになるだろう。
まず一読した者は、必ずと言っていいほどその躍動感に目を奪われる。速度? 勢い? いいや、「緩急」がこれまでかと効果的に表現されている。ゆったりとした動き一つとっても、それが「蠢く」ものなかのか「這いよる」ものなのかを、視覚、聴覚、嗅覚、触覚に訴えかけて、リアルな質感まで描く出される。
いわんや、戦闘シーンだ。サバイバルホラーとあるだけあって、凄まじいの一言。グロテスクなはずなのに、その鮮明な描写には恐ろしいほどに「美しさ」を感じてしまう。
そうなれば、待ち受けているのは、ヤンデレなどという軟なものではない。あるのは、救いようのない理不尽と、這いよる恐怖。狂気に歪みきったラブストーリーが展開される。次は、香澄(ヒロイン)の口から一体どんな言葉が飛び出してくるのか……次は一体どんなことをするのか……絶望しかないのは分かっているのに、繰り出される展開には主人公同様に心臓が早鐘つ。
読めば読むほど深まる謎と、嫉妬と憎悪と狂愛の世界。
レビューでは、言葉を足せば足すほど、作品の良さが損なわれてしまう。この程度しか表現できないのが本当に悔やまれる。
一話一話が重厚で、読了後の満腹感は相当なもの。
骨の髄まで味わえる、ダークファンタジー。
『ベルセルク』の魅力を知る方なら、残虐性と「美」が両立することを知っているのではないでしょうか。
本作では、映像作品のような鮮やかな残虐性が芸術として昇華されています。
青春のきらめきに心ときめかせたかと思えば、迫力満点の戦闘シーンに息を呑む。そんな目まぐるしい変化に、文字を読んでいることも忘れて感情を揺さぶられます。
特筆すべきは、ヒロイズムの欺瞞に深く切り込んでいる点です。本作の主人公・透は熱い性格で、強気をくじき弱きを助く、典型的なヒーロー体質の高校生です。彼の心の闇に焦点を当てることで、この作品は単純な戦闘ものとは一線を画した文学性を確固たるものとしています。
大変読みやすい文章でありながら、研ぎ澄まされたナイフのように鋭い「読まれる」表現力。字書きとして多くの学びがありました。